更新日: 2023.04.25 その他年金

【年金】60歳で「繰上げ受給」をするデメリットは? 減額になっても向いている人とは?

執筆者 : 辻本剛士

【年金】60歳で「繰上げ受給」をするデメリットは? 減額になっても向いている人とは?
基礎年金と厚生年金の受け取り開始は原則65歳からですが、希望すれば65歳より前に受け取ることができ、これを「繰上げ受給」といいます。本記事では、繰上げ受給をするメリット・デメリットと、繰上げ受給に向いている人について解説をします。
辻本剛士

執筆者:辻本剛士(つじもと つよし)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種

活動拠点は神戸。FP個別相談や、プロスポーツ選手の資産形成サポートも行っております。プロスポーツ選手に保険、資産運用、支出の見直しなど包括的なアドバイスや、帳簿などの面倒な記帳業務を代行し、本業に集中できる環境作りをサポートします。

https://kobe-okanesoudan.com/

年金の繰上げ受給

「繰上げ受給」とは、年金支給が開始される65歳を待たずに、早期に年金の受け取りを開始することです。繰上げ受給をすることで、最速で60歳から年金が受け取ることができます。
 
ただし、繰上げ受給は早期に年金を受け取れるなどメリットがある一方で、注意しなければならないデメリットもあります。
 

繰上げ受給のメリット・デメリット

繰上げ受給のメリット・デメリットは次の通りです。十分に理解してから繰上げ受給をするか検討しましょう。
 

【繰上げ受給のメリット】

●早期に年金を受け取ることができる

 
年金の繰上げ受給をすれば、最速60歳から年金を受け取ることができます。例えば、60歳前後で早期に退職した場合や、老後資金の準備が不十分などの場合、年金を前倒しで受け取ることで、安定した収入を得ることができます。
 

【繰上げ受給のデメリット】

●年金額が最大で24%減額する(1962年4月2日以降生まれの人)
●一度繰上げ受給をすると変更できない
●基礎年金と厚生年金は同時に繰上げをしなければならない

 
繰上げ受給は1ヶ月早めるごとに0.4%ずつ受給率が減ってしまい、60歳から年金を受け取ると24%減額します。
 
例えば、65歳で年金を月20万円(年240万円)受け取ることができる人が、繰上げ受給をして60歳で年金を受け取ると、年金額は月15万2000円(年182万4000円)まで減額してしまいます。月15万2000円の年金額では少ないと感じても、一度繰上げ受給を開始してしまうと、後で変更することはできない点にも注意が必要です。
 
また、見落としがちな点がもう1つあります。それは、繰上げ受給を決定した場合は、基礎年金と厚生年金を同時に繰上げをしなければいけないということです。60歳以降も仕事を継続するが、生活費の一部を年金で補いたいと思っても基礎年金だけ繰上げ受給で受け取るようなことはできません。
 

繰上げ受給が向いている人

年金の繰上げ受給は、次のような人が向いています。
 

●収入が少なく、年金を生活費の一部にしたい人
●老後のライフスタイルを充実させたい人

 
収入が減少し、年金支給が開始される65歳まで生活費が足りない人にとっては、繰上げ受給は1つの選択肢です。
 
例えば、生活費が毎月20万円必要な人が、定年退職して60歳からの収入が5万円まで減少してしまったとします。この場合は毎月15万円の不足が生じます。この場合では、繰上げ受給を開始して、毎月の収入5万円に年金を上乗せできれば、生活費の不足を軽減できるでしょう。
 
また、老後のライフスタイルを充実させたい人も、繰上げ受給に向いているといえます。将来設計の中で、「年金の受給開始時期を早めて、受け取った年金を自分の趣味や旅行などの楽しみに使いたい」と考える人もいるでしょう。このような場合、繰上げ受給をすることで、早い時期から趣味や旅行などにお金と時間をあてることができます。
 

繰上げ受給のデメリットも理解した上で選択しよう

繰上げ受給の概要とメリット・デメリット、繰上げ受給に向いている人を解説しました。年金の繰上げ受給は、早い段階で年金を受け取ることができるメリットがある一方で、年金額が減額されるといったデメリットもあります。将来の生活設計を考慮し、繰上げ受給が自分にとって最適な選択かどうか、慎重に判断して選択しましょう。
 

出典

日本年金機構 年金の繰上げ受給

 
執筆者:辻本剛士
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種

ライターさん募集