

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
遺族年金の受給要件
遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金がありますが、それぞれの受給のための要件については【図表1】【図表2】のとおりです。
対象遺族(【図表1】【図表2】のそれぞれI)がいて、亡くなった人の要件(【図表1】【図表2】のそれぞれII)や保険料納付要件(【図表1】【図表2】のそれぞれIII)などを満たせば、遺族に支給されます。
行方不明になった場合の遺族年金
死亡を原因として支給されるその遺族年金について、行方不明になった場合は、実際の生死が明らかではありません。しかし、その場合でも遺族年金の対象となることがあります。
行方不明になってから7年が経過した場合、「普通失踪」として家庭裁判所に失踪宣告の申し立てを行うと(※災害や船舶の事故による場合は「特別失踪」)、行方不明となってから7年経過した日が死亡した日とみなされます。死亡したとみなされることで、その家族は要件を満たせば遺族年金を受給できます。
ただし、この場合の遺族年金について、受給のための要件(【図表1】【図表2】)は、「行方不明となった日」で判定されるものと、「死亡したとみなされた日(行方不明から7年経過した日)」で判定されるものがあります。
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「行方不明となった日」で判定
死亡当時、死亡した人が国民年金や厚生年金の被保険者であったかどうかの被保険者資格要件(【図表1】【図表2】のII)、死亡した人が保険料をどれほど納めていたかの保険料納付要件(【図表1】【図表2】のIII)、生計維持要件(【図表1】【図表2】のI)については、行方不明となった日で判定されます。
失踪して以降は、被保険者としての年金制度への加入、あるいは保険料の納付ができないことも多く、7年経過した日では生計維持がすでにないことが明らかなためです。
「死亡したとみなされた日」で判定
一方、死亡当時、死亡した人の配偶者であるとか、子が18歳年度末までの子であるとか、身分関係や遺族の年齢(【図表1】【図表2】のI)については、死亡したとみなされた日で判定されます。行方不明から7年経過したときに、子がすでに対象年齢を過ぎている場合は、対象遺族とならないことになるでしょう。
年金を受給している人が行方不明になった場合
以上のような要件を満たせば、行方不明になった場合でも遺族年金が支給されます。
なお、行方不明になった人が年金を受給している人である場合は、その世帯員は「年金受給権者所在不明届」を日本年金機構等に提出します。そして、日本年金機構等より、本人宛に「現況申告書」が送られ、1ヶ月以内に本人から返信がされない場合は、本人の年金は原則として差し止められます。
行方不明となることはめったにないことかもしれませんが、このような取り扱いとなるでしょう。
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー