更新日: 2023.04.25 国民年金

将来の年金額に「20万円」の差が!? 国民年金の「免除」「猶予」の違いって? 年金額への影響も解説

将来の年金額に「20万円」の差が!? 国民年金の「免除」「猶予」の違いって? 年金額への影響も解説
会社員ではない自営業者などは、毎月自身で国民年金の保険料を納付しなければなりません。
 
しかし、失業や収入の減少などの経済的な理由により保険料が納められない場合などは、国民年金保険料の「免除」や「猶予」の制度を利用できる場合があります。
 
一見同じように思うかもしれませんが、この2つは異なり、気を付けないと将来受け取れる年金が大きく変わってしまいます。本記事では、国民年金保険料の「免除」と「猶予」の違いについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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国民年金保険料の「免除」とは

国民年金保険料の免除制度とは、本人・世帯主・配偶者それぞれの前年所得が一定以下の場合、本人の申請により、保険料の全額もしくは一部が免除される制度です。
 
免除の額は、本人・世帯主・配偶者それぞれの前年所得に応じて、4種類に分類されます。具体的には、図表1で計算した金額の範囲内で設定されます。
 
図表1

前年所得 免除の種類
(扶養の対象となる親族等の数+1)×35万円+32万円 全額免除
88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 4分の3免除
128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 半額免除
168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 4分の1免除

日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度を基に作成
 

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国民年金保険料の「猶予」とは

国民年金の猶予制度とは、20~50歳未満で、本人・配偶者の前年所得が一定基準よりも少ない場合、本人の申請により保険料の納付が猶予される制度です。
 
猶予制度の前年所得の条件は、免除制度の全額免除と同様です。
 

「免除」と「猶予」の共通点

免除と猶予の共通点としては、まずは両方とも認められた期間、免除は全額または一部、猶予は全額保険料を支払わなくてよい点です。
 
また、将来老齢基礎年金を受け取るためには、10年以上の受給資格期間(保険料を支払った期間や納付を免除・猶予された期間)が必要です。何も手続きをしていない場合、この受給資格期間は増えませんが、免除や猶予が認められている期間はカウントされます。
 
ただし、免除や猶予の期間は、年金の受給金額には完全にはカウントされません。受給金額のカウント方法は後述しますが、免除や猶予はどちらも「追納」すれば、将来の受給金額を満額に近づけられます。なお、追納は追納が認められた月の前10年以内の免除期間などにしなくてはなりません。
 

「免除」と「猶予」の違い

免除と猶予の違いとして、年金の受給金額への反映方法があげられます。免除・猶予の種類に応じて、保険料を全額納付した場合よりも所定の率が引かれます。
 
免除・猶予の種類ごとにおける、保険料を全額納付した場合に対する年金額は図表2のとおりです。
 
図表2

免除・猶予の種類 免除・猶予された期間の年金額(対保険料全額納付)
全額免除 2分の1
4分の3免除 8分の5
半額免除 8分の6
4分の1免除 8分の7
猶予 ゼロ

日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度を基に作成
 
仮に、20年間は保険料を支払い、残りの20年間は全額免除または猶予していた場合、将来受け取れる年金額がどのくらい異なるのか、算出してみましょう。

【20年間全額免除していた場合、65歳以降の年金受給額(年額)】
79万5000円×(免除240ヶ月×2分の1+納付240ヶ月)/480ヶ月=59万6250円

【20年間猶予していた場合、65歳以降の年金受給額(年額)】
79万5000円×240ヶ月/480ヶ月=39万7500円

このように、保険料を支払っていない期間は20年と同じでも、受け取れる年金額は年間で20万円程度異なります。
 

まとめ

国民年金の保険料を支払うことは義務ですが、所得が少ない場合は無理に支払うことで生活が破綻してしまうかもしれません。支払えない場合はそのままにせず、免除や猶予の申請をしましょう。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
 
※2023/4/25 記事を一部修正いたしました。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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