更新日: 2023.04.28 厚生年金
年収500万円の人の厚生年金保険料、いくらぐらい支払ってる?
本記事では、厚生年金保険料の決まり方を解説し、年収500万円を例に、およそいくら厚生年金保険料を支払っているのか、試算していきます。
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
厚生年金保険料の決まり方
厚生年金保険料は、以下の計算式によって算出されます。
・毎月(給与)の保険料:標準報酬月額×保険料率(18.3%)
・賞与の保険料:標準賞与額×保険料率(18.3%)
なお、保険料は労使折半(会社が半分負担)なので、保険料率は実質9.15%となります。標準報酬月額とは、被保険者が受け取る給与を、一定幅で区分した「報酬月額」に当てはめて決定した金額です。
この区分がそのまま「標準報酬月額の等級」となり、1等級から32等級まであります。標準報酬月額は、原則として、毎年4月、5月、6月の報酬月額を基に計算し、9月に決定します。
標準賞与額とは、被保険者が受け取る賞与(税引き前)の金額です。標準賞与額には先の標準報酬月額のような「等級」はなく、賞与の額(1000円未満切り捨て)に保険料率(18.3%)を乗じた金額が、賞与に係る保険料となります。
ただし、支給1回につき、上限は150万円と決まっており、150万円を超える場合は150万円として保険料を計算します。つまり、厚生年金保険料の計算は、以下の手順で行います。
(1)標準報酬月額・標準賞与額の決定
(2)標準報酬月額・標準賞与額に保険料率を掛けて保険料を計算
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年収500万円の場合の厚生年金保険料
以下で、年収500万円の場合の厚生年金保険料を計算していきます。本記事では、給与と賞与の内訳を、以下のように仮定します。
・給与:31万2500円×12回
・賞与:62万5000円(給与2ヶ月分)×2回
すると、標準報酬月額と標準賞与額は、以下のように決まります。
・標準報酬月額:32万円(20等級)
・標準賞与額:62万5000円
標準報酬月額、標準賞与額に、それぞれ保険料率(9.15%)を掛け、保険料を計算します。
・給与に係る保険料:32万円×9.15%=2万9280円
・賞与に係る保険料:62万5000円×9.15%=5万7187円
年収500万円の方が1年間で負担する厚生年金保険料は、以下のとおりです。
2万9280円×12ヶ月+5万7187円×2回=46万5734円
厚生年金保険料は、以上のように算出します。金額をご自身の場合に当てはめれば、ご自身が負担している保険料を算出することが可能です。計算結果と、給与明細や賞与明細の「厚生年金保険料」欄の金額が一致するかを確認してみるのもよいでしょう。
まとめ
本記事では、厚生年金保険料の算出方法を解説し、年収500万円の場合、いくらぐらい厚生年金保険料を支払っているのか、試算しました。年収500万円の内訳を、給与31万2500円、賞与62万5000円と仮定した場合、年間の厚生年金保険料は46万5734円となりました。
厚生年金保険料は源泉徴収であり、支払っている意識があまりない方も多いことかと思います。ご自身の場合はいくら支払っているのかを把握していない方は、本記事で紹介した手順に従って計算してみたり、給与明細・賞与明細の「厚生年金保険料」欄を見たりして、一度確認してみるとよいでしょう。
厚生年金保険は「社会保険」であり、私たちの生活における最も基本的なセーフティーネットの一つです。厚生年金保険料を支払っていると自覚し、厚生年金保険に関心をもっていただくことで、お金の生かし方も少し変わるのではないでしょうか。
出典
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー