更新日: 2023.05.02 国民年金
学生時代に払わなかった年金で「6万円」の損に!? 対処法も解説
本記事では、在学中に保険料を納付していない場合にどのくらい年金が減額されるのか、また、その減額分についての対処法について解説します。
執筆者:齋藤彩(さいとう あや)
CFP
学生納付特例制度の利用者は63.9%
20歳になると国民年金への加入が義務となり、国民年金保険料を支払わなければなりません。国民年金に加入していると原則65歳から老齢基礎年金を受給できますが、受給できる金額は保険料の納付済期間によって異なります。
20歳から60歳までの40年間保険料を納めると、1年当たり満額の79万5000円、1ヶ月当たり6万6250円を受給することができます(2023年4月時点)。
しかし、学生時代は経済的に保険料を支払うことが難しいこともあります。その場合、申請により在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」を利用することができます。厚生労働省の「令和2年国民年金被保険者実態調査」によると、実際に学生納付特例制度を利用している学生は63.9%で、多くの学生が利用していることが分かります。
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学生納付特例制度を利用すると年金はいくらになる?
学生納付特例制度では在学中の保険料の納付が猶予されますが、猶予期間分、将来受給できる老齢基礎年金が減額されます。猶予期間別の受給できる老齢基礎年金額(2023年4月時点の額)は図表1の通りです。
図表1
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額より筆者作成
図表1より、猶予期間が1年間増えると約2万円ずつ減額されることが分かります。20歳から22歳の3年間保険料の納付を猶予されると、満額の79万5000円から約6万円減額され、一生涯減額された金額を受給することになります。
将来の年金額を増やす方法は?
学生納付特例制度で年金が減額されることを知らなかった人もいるかと思います。しかし、減額された年金額を増やす方法もあります。
保険料の未納分を追納する
保険料を納めていない期間がある場合、さかのぼって保険料を納めることができる追納制度があります。追納することで受給できる年金額を満額にする、あるいは満額に近づけることができます。
追納した保険料は全額、社会保険料控除の対象となり、年末調整あるいは確定申告により所得税・住民税を少なくすることができます。追納した場合は忘れずに申請するようにしましょう。
注意点は、追納ができるのは10年以内ということです。10年より前の保険料は追納することができません。また、猶予された期間の翌年度から数えて3年度目以降に保険料を追納する場合、加算額が上乗せされます。
任意加入制度で60歳以降も国民年金に加入する
40年分(20歳から60歳まで)の保険料の納付期間がない場合、60歳以降65歳未満の期間において(※1)国民年金に任意加入することができます。60歳になる誕生日の前日より任意加入の手続きをすることができますが、申出のあった月からの加入となります。さかのぼって加入することはできません。
※1:1965年4月1日以前に生まれた人は、65歳以上70歳未満の期間においても任意加入が可能です。
受給するタイミングを遅らせる
65歳で年金を受け取らずに、66歳から75歳の任意のタイミングに受給を繰り下げることで年金額を増額させることができます。1ヶ月遅らせると0.7%増額され、最大で84%(※2)の増額となります。増額された金額は一生涯続くため、受給額を増やしたいときは選択肢の1つです。
※2:1952年4月1日以前生まれの人(または2017年3月31日以前に老齢基礎(厚生)年金を受け取る権利が発生している人)は、繰下げの上限年齢が70歳(権利が発生してから5年後)まで、最大増額率は42%となります。
まとめ
本記事では、学生納付特例制度を利用した場合の老齢基礎年金の減額と、年金額を増やす方法について解説しました。在学中に保険料の納付を猶予されている人は多いです。将来思っていたよりも年金額が少ないと焦ることがないように、自身がいくら受給できるのかを把握してみましょう。少ないようであれば年金額を増やす方法を検討してみてはいかがでしょうか。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
厚生労働省 令和2年国民年金被保険者実態調査 結果の概要
日本年金機構 任意加入制度
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:齋藤彩
AFP