更新日: 2019.01.07 iDeCo(確定拠出年金)

今さら聞けない?最近よく聞くiDeCoとつみたてNISA、どのように使い分けるといいの?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

今さら聞けない?最近よく聞くiDeCoとつみたてNISA、どのように使い分けるといいの?
iDeCo(イデコ)とつみたてNISAは、どちらも長期的な資産形成を目的として誕生した制度で、よく比較されています。
 
いずれも非課税で長期間運用できるという点は共通のメリットですが、制度上、利用の仕方や制約条件などが異なっています。
 
資産形成の目的に合わせてどのように活用すればよいのかを考察してみました。
 
FINANCIAL FIELD編集部

Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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iDeCoの節税効果と複利効果

iDeCoとは、「個人型確定拠出年金」の愛称として付けられたもので、公的年金に上乗せする私的年金の制度です。
 
「年金」という名が付いているように、公的年金だけでは足りないとされる老後資金を補うため、掛け金を積み立てていきます。ただし、公的年金や他の確定給付型の年金と異なり、その掛け金の運用は加入者自身の責任で行い、運用の成果が将来の受取額に反映されます。
 
iDeCoは、その制度上、掛け金が全額所得控除の対象となるため、毎年の所得税と住民税を軽減する効果があります。住民税の所得割は一律に税率10%ですが、所得税は税率5%から45%までの超過累進税率が適用されるため、課税所得が多くなるほどiDeCoの節税メリットは大きくなります。
 
例えば、会社員が毎月2万円(年間24万円)を積み立てた場合、各人の所得控除の額などによって異なりますが、一般に年収500万円くらいの人は所得税と住民税を合わせて年間4万8000円の節税ができます。年収800万円くらいの人は、同様に年間7万2000円の節税が可能です(復興特別所得税は除く)。
 
さらに、iDeCoの運用期間中は課税されないため、長期の運用では大きなメリットとなります。一般的な資産運用では利益が出るつど課税されますし、途中で売却して他の金融商品に乗り換えるときや、配当金・分配金などを再投資するときには税引き後の金額となってしまいます。しかし、iDeCoでは運用益に課税されずに全額再投資されるので、複利効果が大きくなります。
 

幅広い世代で利用できるつみたてNISA

一方、つみたてNISAとはどのような制度なのでしょうか。金融庁のHPによると、下記のように説明されています。
 
「つみたてNISAは、特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度として、2018年1月にスタートしたものです。対象商品は手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されています。投資初心者をはじめ幅広い年代の方にとって利用しやすい仕組みとなっています。」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/overview/index.html
 
つみたてNISAの投資期間は2018年から2037年まで。年間40万円を上限に、積み立て開始から20年間非課税で運用を継続することができます。したがって、2018年につみたてNISAをはじめれば、最大800万円非課税で投資できます。
 

iDeCoとつみたてNISAそれぞれの特徴

iDeCoは60歳までしか掛け金を拠出できず、加入者の属性によって上限金額が決められています(年額で14万4000円から81万6000円まで)。そのため、開始時期の年齢が高くなるほど、拠出できる金額も少なくなってしまいます。また、iDeCoは原則として60歳になるまで資産を引き出すことができません。50歳以降に開始した場合は、掛け金の拠出期間が10年を下回るため、受取開始時期が61歳以降に繰り下げられます。
 
したがって、iDeCoの運用面での優位性は、開始時期の年齢が高くなるほど低下します。このように、iDeCoは比較的若い世代の長期的な資産形成に向いている制度ですが、40歳代後半以降の人も一般に所得が高い時期と重なるため、節税効果が期待できます。
 
つみたてNISAは、2014年にスタートしたNISA(少額投資非課税制度)の積立版です。
 
NISA(つみたてNISAと区別する際には「一般NISA」と呼ばれる)は年間120万円(2015年までは100万円)まで最大5年間非課税で投資でき、対象商品も上場株式や株式投資信託など幅広く対応しています。また、つみたてNISAの対象商品は、金融庁が定めた要件を満たす株式投資信託等に限定されています。
 
つみたてNISAは一般NISAのように、個別の株式への投資には利用できないため、運用の選択の幅は狭くなります。逆に考えれば、それだけ厳選された商品ということになります。
 
実際、運用コストが低い点は、長期積立投資では大きなメリットです。つみたてNISAには、iDeCoのような掛け金所得控除の制度はありませんが、いざというときは換金しやすく、iDeCoに比べて自由度が高いのはメリットです。
 

iDeCoとつみたてNISAの使い分け

iDeCoの運用商品は、加入希望者が各自で申し込んだ運営管理機関(金融機関)の提示する商品の中から選択します。
 
資産価値が変動する投資信託や外貨建て金融商品だけでなく、安全性の高い預貯金や公社債などの元本確保型を中心に運用することもできます。他に保有している資産の状況や、住宅取得資金・教育資金など、ライフステージでの資金需要を考慮して、リスク度の調整を図ることが大切です。
 
つみたてNISAは、開始する年の1月1日時点で20歳以上であれば誰でも利用することができます。将来の資金作りを目的にコツコツと増やしたい人に向いていると言えます。また、若年世代の資産形成だけでなく、iDeCoに加入できない中高年世代の資産活用など、幅広い世代で利用されています。
 
40歳代以下の人は、iDeCoとつみたて NISAを使い分けることで長期的な資産形成の効果を高めたいところです。
 
老後のコア資金作りとしては、iDeCoを活用して「守り」を固めながら、安全性と収益性をバランスよく組み合わせて運用します。そして、余裕資金がある時期にはリスクは高めでも、資産を積極的に増やすことを目的に、つみたてNISAを活用して「攻め」の運用を採り入れるとよいでしょう。
 
iDeCoとつみたてNISAは長期的な資産形成に有効な制度ですが、それぞれに制度上のメリット・デメリットがあります。各人のライフスタイルに合わせ、両者を上手に活用することが大切です。
 
Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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