更新日: 2023.05.23 国民年金

年金に2年の「カラ期間」があります。「追納」で年金額を増やすことは可能?

年金に2年の「カラ期間」があります。「追納」で年金額を増やすことは可能?
日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人は、国民年金に加入して保険料を払う義務が法律で決められています。また、国民年金(老齢基礎年金)を受け取るためには、10年以上の受給資格期間が必要となります。
 
受給資格期間には、国民年金保険料を納付した期間のほか、保険料の免除・猶予を受けていた期間や合算対象期間(以下、カラ期間)も含まれます。本記事では、カラ期間がある場合について説明していきます。
吉野裕一

執筆者:吉野裕一(よしの ゆういち)

夢実現プランナー

2級ファイナンシャルプランニング技能士/2級DCプランナー/住宅ローンアドバイザーなどの資格を保有し、相談される方が安心して過ごせるプランニングを行うための総括的な提案を行う
各種セミナーやコラムなど多数の実績があり、定評を受けている

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年金制度の変更でカラ期間ができた


年金制度は開始以降、再三にわたり改正が行われ、現在のように20歳以上60歳未満のすべての人が国民年金に加入するようになったのは平成3年4月1日からです
 
それまでは20歳以上でも学生の場合は任意加入となり、義務ではなく自分の意志で加入するという制度でした。さらにさかのぼり、昭和61年3月31日までは会社員の妻(専業主婦)も国民年金には任意加入となっていましたが、昭和61年4月1日以降は第3号被保険者として、自身で保険料を負担することなく国民年金に加入できるようになりました。
 
国民年金は受給資格期間が10年以上あれば、納付した保険料に応じて老齢基礎年金が受け取れます。会社員など厚生年金に加入している人は、支払っている厚生年金保険料に国民年金保険料も含まれています。また、受給資格期間には、国民年金保険料の免除・納付猶予の適用を受けた期間やカラ期間も算入されます。
 
保険料の免除には、生活保護の受給者や障害者などが対象の法定免除と、本人・世帯主・配偶者の所得が一定額以下で保険料の納付が困難な場合などに本人が申請を行い、承認されることで保険料の全額または一部が免除される申請免除があります。
 
保険料の納付猶予は、20歳から50歳未満で本人・配偶者の所得が一定額以下の場合に申請・承認によって受けられるほか、学生を対象とした納付特例があります。
 
カラ期間とは、年金制度の変更前で専業主婦や学生などの国民年金の加入が任意であったときに、加入していなかった期間のことです。ただし、保険料の納付猶予期間やカラ期間は受給資格期間に算入されるものの、老齢基礎年金の受給額には反映されず、保険料を納付していない分、年金額は少なくなります。
 

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免除・猶予期間の保険料は追納が可能だが、カラ期間は?

国民年金保険料は納付義務がありますが、事情によって納付が困難となり、免除・猶予制度を利用することもあるかもしれません。
 
申請により免除や猶予を受けた期間に対して、10年以内であれば保険料を追納することができます。しかし、免除・猶予の申請を行わずに未納となった期間は、受給資格期間に算入されず、あとから保険料を払えるのも納付期限から2年以内となります。
 
では、カラ期間については保険料を追納できるのでしょうか。
 
過去に国民年金に任意加入していなかったことで生じるカラ期間には、

・昭和61年3月以前に会社員の配偶者だった期間
・平成3年3月以前に学生だった期間
・昭和36年4月以降に海外に住んでいた期間

などがあります。
 
先述したとおり、国民年金保険料の免除や猶予期間は収入減少や学生などに対する一時的な措置という観点から追納ができますが、カラ期間は自分の考えで国民年金に加入するか否かを決められる期間であるため、保険料を追納することができません。
 

カラ期間がある場合は任意加入で年金額を増やそう

カラ期間については、例えば該当するのが2年間であっても国民年金保険料の追納はできません。ただし、国民年金には60歳までに老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない場合や、保険料の未納があるため満額の老齢基礎年金を受給できない場合、60歳以降も加入して保険料を納付できる任意加入制度があります。
 
60歳を過ぎても厚生年金や共済組合に加入している場合は任意加入制度を利用することはできませんが、2年のカラ期間があるというケースでは、60歳から62歳まで国民年金に任意加入し、全加入期間となる40年(480月)分の保険料を納付すれば、満額の老齢基礎年金を受給することが可能になります。
 
年金収入だけでゆとりある生活を送ることは難しいかもしれませんが、年金は老後に欠かせない大切な収入源になりますので、少しでも受給額を増やしておくと安心です。また、老後に必要な資金は公的年金を基本にして、不足分についてはNISAやiDeCoなど、資産形成に利用できる制度も活用しながら計画的に準備していきましょう。
 

出典

日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本年金機構 任意加入制度
 
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー
 

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