「年金受給前」に死亡。これまで払った「年金保険料」は戻ってくる?
配信日: 2023.06.11 更新日: 2023.06.12
そこで、本記事では被保険者が「年金受給前」に死亡した場合、遺族が受け取ることができる「遺族年金」「寡婦年金」「死亡一時金」を解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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遺族年金とは?
遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。
遺族基礎年金を受け取るための条件は「被保険者が死亡した場合」「日本国内に住所を持つ60歳以上65歳未満の被保険者が死亡した場合」「老齢基礎年金の受給権者が死亡した場合」「保険料納付済期間と保険料免除期間の合計期間が25年以上である被保険者が死亡した場合」です。
受け取ることができる年金額は令和5年度現在で「79万5000円+子の加算」です。子の加算は「第1子および第2子は22万8700円」「第3子以降は各7万6200円」になります。
遺族厚生年金を受け取るための条件は「被保険者が死亡した場合」「被保険者である期間に初診を受けた傷病が原因で、初診日から5年以内に死亡した場合」「1級もしくは2級の障害厚生年金の受給権者が死亡した場合」「老齢厚生年金の受給権者または保険料納付済期間と保険料免除期間の合計期間が25年以上である被保険者が死亡した場合」です。
遺族の範囲は、被保険者によって生計が成り立っていた「妻」「子」「夫」「父母」「孫」「祖父母」です。受け取ることができる年金額は「報酬比例部分×4分の3」になります。
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寡婦年金とは?
死亡日の前日まで10年以上の間、年金保険料を支払っていた夫が亡くなった場合、その夫と10年以上継続して婚姻関係があり、夫によって生計が成り立っていた妻に対して「寡婦年金」が支払われます。支給期間は「妻の年齢が60歳から65歳になるまで」です。年金額は「夫の老齢基礎年金額×4分の3」です。
ただし、夫が老齢基礎年金・障害基礎年金を受給していた場合、支給されません。また、妻が繰り上げで老齢基礎年金を受けている場合も支給は行われません。
死亡一時金とは?
死亡日の前日までに36ヶ月以上、年金保険料を納めていた人が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受給する前に亡くなった場合、生計を同じくしていた遺族に対して「死亡一時金」が支払われます。支給金額は「12万~32万円」で、保険料を支払っていた期間によって異なります。
付加保険料を36ヶ月以上支払っている場合は、8500円が加算されます。支払われる遺族には優先順位があり、「1.配偶者」「2.子」「3.父母」「4.孫」「5.祖父母」「6.兄弟姉妹」の中で優先順位の高い人です。
遺族が遺族基礎年金を受け取る場合、死亡一時金を受けることはできません。また、寡婦年金と同時に支給することはできず、寡婦年金か死亡一時金か、どちらか1つを選ばなくてはなりません。死亡一時金には時効があり、死亡日の翌日から2年間なので、気をつけるようにしましょう。
「年金受給前」に死亡した場合は遺族年金・寡婦年金・死亡一時金の支給あり
年金を受給する前に亡くなった場合、これまで支払った年金保険料が戻ってくることはありません。しかし、遺族は遺族年金・寡婦年金・死亡一時金を受け取ることが可能です。年金にはこうした保険的な機能も備わっているため、決して保険料は無駄ではないのです。ただし、遺族がこれらの年金を受給するためには条件があるため、注意するようにしましょう。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 寡婦年金
日本年金機構 死亡一時金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー