更新日: 2023.06.16 その他年金
もらえないと思っていた「加給年金」。65歳以降も働くともらえる場合もあるの?
そのような中で、2022年4月、厚生年金保険に加入する形で働きながら老齢厚生年金を受け取る人の年金額が毎年1回改定される「在職定時改定」制度が導入されました。
本記事では、在職定時改定の導入によって「加給年金」の仕組みが変わった点について解説します。あわせて、別の上乗せ給付制度である「振替加算」への影響も取り上げます。
執筆者:福嶋淳裕(ふくしま あつひろ)
日本証券アナリスト協会認定アナリスト CMA、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本商工会議所認定 1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
リタイアメントプランニング、老後資金形成を得意分野として活動中の独立系FPです。東証一部上場企業にて、企業年金基金、ライフプランセミナー、DC継続教育の実務経験もあります。
「加給年金」「振替加算」とは
「加給年金」と「振替加算」は、それぞれの加算要件を満たす夫または妻に対して、どちらかが支給されます。
「加給年金」は、厚生年金保険に加入する形で20年(240ヶ月)以上働いてきた人が65歳に達して老齢厚生年金を受け取り始めるとき、加給年金の加算要件を満たす配偶者(または子)がいれば、その配偶者(または子ども)が要件を満たしている間、受け取れるものです(配偶者のみの場合、年間約40万円)。
「振替加算」は、厚生年金保険の加入期間が240ヶ月未満の妻(または夫)が65歳に達して老齢基礎年金を受け取り始めるとき、振替加算の要件を満たせば受け取れます。
生年月日によって加算額が決まっており、1961年4月2日~1966年4月1日生まれの場合、年間約1万5000円になります。1966年4月2日以後の生まれの場合、振替加算はありません。
分かりやすい例は、「夫が65歳に達して老齢厚生年金を受け取り始めるとき、要件を満たす年下の妻がいれば夫に加給年金が上乗せされ、その後、妻が65歳に達すると、夫の加給年金が打ち切られる代わりに妻の老齢基礎年金に振替加算が上乗せされる」といった場合です。
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2022年3月まで(在職定時改定の導入前)
2022年3月以前は、65歳に達して老齢厚生年金を受け取り始めながら厚生年金保険に加入する形で働く場合、65歳以降の加入期間が年金額に反映されるタイミングは、退職したとき、または70歳に達したときだけでした。65歳以降の退職または70歳到達をもって年金額を改定するこの仕組みを「退職改定」といいます。
「加給年金の加算要件」や「振替加算の支給停止要件」を判断されるタイミングも、65歳到達時点と退職改定時点(65歳以降の退職または70歳到達)に限られていました。
2022年4月から(在職定時改定の導入後)
2022年4月、退職改定に加えて在職定時改定が導入され、65歳以上の人は在職中も毎年1回、10月分から年金額が改定されることになりました。この在職定時改定の導入により、「加給年金」と「振替加算」は次のような場合が発生することになります。
例1:65歳到達時点で厚生年金保険の加入期間が240ヶ月未満だった夫が、65歳以降の在職中、在職定時改定によって加入期間240ヶ月以上になったとき、加給年金の加算対象になる。
例2:65歳到達時点で厚生年金保険の加入期間が240ヶ月未満だった妻が、65歳以降の在職中、在職定時改定によって加入期間240ヶ月以上になったとき、振替加算が支給停止となる。
まとめ
65歳到達時点の厚生年金保険加入期間が240ヶ月未満で、65歳以降に厚生年金保険に加入する形で働く人が在職定時改定によって加入期間240ヶ月以上になったとき、要件を満たす配偶者(または子ども)がいれば、加給年金を新たに受け取れます。
加給年金は比較的多額な上乗せ制度です。該当する人は届け出を忘れないようにしましょう。
出典
日本年金機構 加給年金額と振替加算
日本年金機構 令和4年4月から在職定時改定制度が導入されました
執筆者:福嶋淳裕
日本証券アナリスト協会認定アナリスト CMA、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本商工会議所認定 1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)