更新日: 2023.06.29 その他年金

「世帯年収700万」だった場合、老後の年金はいくら受け取れる?

「世帯年収700万」だった場合、老後の年金はいくら受け取れる?
将来は年金をいくらくらい受け取れるのか、老後のライフプランを考える際には、多くの世帯で目安となる年金額の確認が必要となるでしょう。
 
今回は、世帯年収700万円程度の夫婦共働き世帯の例を中心に、年金の受給額についていくつかのパターンで試算してみました。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

同じ世帯年収700万円でも働き方などで将来の年金額は異なる

老齢年金の受給額については、年収によっていくらになると一概に言えるものではありません。
 
老齢基礎年金は、国民年金の全加入期間で保険料を納めた月数に比例して受給額が決まりますが、老齢厚生年金は厚生年金に加入していた期間の月数のほか、平均収入によって受給額が変化するからです。
 
例えば、定年時の年収が700万円という会社員の方でも、厚生年金の加入期間の平均年収が700万円だった場合と、定年前の数年間だけ年収700万円だったという場合では、受け取れる厚生年金の額が異なるということです。
 
また、世帯年収が700万円というケースでも、例えば夫の年収600万円と妻の年収100万円、夫と妻の年収がそれぞれ350万円など、その内訳によっても世帯が受け取る年金額は異なります。
 
以下では、世帯年収700万円の夫婦共働き世帯が働き方に応じて65歳から受け取れる年金の見込み受給額について、厚生労働省の「公的年金シミュレーター」を使って試算します。
 
なお、世帯年収以外の試算の条件は、夫婦ともに1980年5月1日生まれ、20歳から22歳までは学生として国民年金に加入、基本的な就労期間は23歳から65歳までと簡略化しています。
 

夫の平均年収が600万円、妻は多くの期間で年収100万円という世帯の場合

夫が会社員で現役時代の平均年収が600万円、妻は23歳から30歳までは会社員(年収250万円)として厚生年金に加入し、31歳からはパート勤務(年収100万円)で夫の扶養に入っていた場合、65歳から受け取れる年金額は夫が年間227万円、妻は年間90万円となります。
 
世帯で受け取る年金額は年間317万円です。
 

夫婦ともに年収350万円の世帯の場合

夫婦ともに会社員で現役時代の平均年収が350万円の場合、それぞれ年間166万円の年金を受け取れる試算となり、世帯では年間332万円の年金収入が見込まれます。
 

年収が夫400万円、妻300万円の世帯の場合

夫婦ともに会社員で現役時代の平均年収が夫は400万円、妻は300万円という世帯の場合、年金の見込み受給額は夫が年間178万円、妻が159万円となります。世帯で受け取れる年金額は年間337万円です。
 

夫の年収が段階的に増え、50代から700万円となった場合は?

ここからは条件をさらに変えて、現役時代の年収の変化や働き方に応じて夫婦が受け取る年金額を試算します。
 

夫の条件(現役時代の平均年収)

・23歳から29歳まで…350万円
・30代…460万円
・40代…580万円
・50代以降…700万円

 

妻の条件

・23歳から27歳まで会社員(年収280万円)として厚生年金に加入
・28歳以降は専業主婦(国民年金第3号被保険者)

 
このケースでは、夫が受け取る年金は年間で214万円、妻の年金は87万円となり、世帯での受給額は年間301万円という試算です。
 

夫の平均年収700万円、妻は国民年金のみに加入していた場合

最後に、夫の現役時代の平均年収が700万円、妻は20歳から国民年金のみに加入していたという条件で試算します。この場合、夫の年金は年間246万円、妻の年金は80万円で、世帯では年間326万円の年金収入を得られる試算になります。
 

年金の受給額が気になったら過去の年収や働き方を確認

夫婦共働きで世帯年収が700万円程度という場合、65歳から受け取る年金額は夫婦2人分を合算して、300万円から330万円前後になると試算できます。
 
ただし、実際に受け取れる年金額は、現役時代の年収の変化や世帯年収の内訳、夫婦それぞれの働き方などで異なるほか、将来の年金制度の変更によって変わることもあるため、現時点での試算で想定できる年金額は参考程度にとどめておくべきです。
 
そして老後のライフプランを立てる際は、年金ありきの生活ではなく、現役時代に準備した老後資金を活用することや、就労の継続なども検討しておくといいでしょう。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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