更新日: 2023.06.30 その他年金

定年後は年金だけで「月20万円」もらいたい! 現役時代にいくら稼ぐ必要がある? 夫婦2人で生活できるのかも検証

定年後は年金だけで「月20万円」もらいたい! 現役時代にいくら稼ぐ必要がある? 夫婦2人で生活できるのかも検証
「老後は年金だけで毎月20万円くらいもらえたらいいな」と考える人も多いのではないでしょうか。「退職金や年金、貯金だけで生活できる時代は終わった」といわれることもありますが、少しでも多くの不労所得を作りたいと考えるのは不思議なことではありません。
 
本記事では、老後に年金だけで毎月20万円もらおうと思ったら現役時代にいくら稼ぐ必要があるのか、20万円あれば夫婦2人で生活できるのか解説します。今回は話を分かりやすくするために下記の事例を想定して説明します。
 
・金融資産は預貯金のみで、会社員時代に給料以外の収入はない
・年金保険料は満額納付していて、未納や免除等の期間はない
・老齢年金は65歳から受け取り、繰上げや繰下げ受給は行わない
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年金だけで毎月20万円もらえる?

結論からいえば、年金だけで毎月20万円を受け取ることは可能です。
 
日本年金機構が公表している、2023年度の年金額の例によると、厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は月額22万4482円です。これはボーナスもあわせた平均収入が月額約44万円で40年間就業した場合に受け取れる金額で、老齢厚生年金と夫婦2人分の老齢基礎年金が含まれています。
 

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現役時代にいくら稼ぐ必要がある?

さらに詳しい金額を出す場合は老齢基礎年金と老齢厚生年金に分けて考える必要があります。
 
老齢基礎年金は保険料を満額納付している場合、年間79万5000円(令和5年度)受給できます。そのため年金だけで毎月20万円(年間240万円)もらいたい場合は老齢厚生年金で残りの160万5000円をカバーしなければなりません。
 
老齢厚生年金は「報酬比例部分+経過的加算+加給年金額」によって計算され、厚生年金に加入していたときの報酬額や加入期間等に応じて変化します。
 
経過的加算や加給年金額がない場合は報酬比例部分によって決まり、2003年3月以前と2003年4月以降で計算式が異なります。今回は、2003年4月以降の計算式「平均標準報酬額×5.481/1000×加入期間の月数」で求めます。
 
報酬比例部分の計算式にあてはめると「平均標準報酬額×5.481/1000×480ヶ月=160万5000円」となり、平均標準報酬額は約61万円です。年収に換算すると約732万円あれば老齢基礎年金と厚生年金あわせて月20万円もらえる計算です。
 
年収700万円台は厳しいと思われるかもしれませんが、上記はあくまで夫か妻の片働きの収入で準備すると仮定した場合です。夫婦2人の共働きで考えるとハードルは下がります。
 
専業主婦(主夫)の場合は国民年金の第3号被保険者として老齢基礎年金を受け取ることができ、共働きの場合で厚生年金に加入すると、老齢厚生年金を受給できます。
 
夫婦2人がそれぞれ老齢基礎年金を満額受け取る場合、金額は年間159万円(月13万2500円)です。年間81万円(月6万7500円)の不足分を老齢厚生年金でカバーする必要があります。これを先ほどの報酬比例部分の計算式にあてはめると平均標準報酬額は約30万円となり、年収換算でそれぞれ約360万円あれば、夫婦で年金を月20万円もらえる計算になります。
 

20万円あれば夫婦2人で生活できる?

年金だけで毎月20万円もらえるとして、夫婦2人で生活できるのでしょうか。結論からいえば簡単ではない可能性が高いです。
 
総務省統計局が2021年に公表しているデータによると、65歳以上夫婦のみの無職世帯の場合、消費支出は月額22万4436円となっています。
 
消費支出はあくまで最低限の生活費なので、実際はさらにかかる可能性があります。例えば、自分や家族が病気やけがをして病院に通う、夫婦で国内外に旅行する、古くなった家具や家電を買い替えるといった機会もあるかもしれません。このように想定外の事態や趣味娯楽に使うお金のことも考えると月20万円では足りないかもしれません。
 

まとめ

今回は定年退職後に年金だけで毎月20万円もらいたい場合、現役時代にいくら稼ぐ必要があるのか、夫婦2人で生活していけるのか、解説しました。もちろん年金だけで月20万円もらえたらすごいですが、お金の不安を少しでも減らすためにも定年退職後もできる限り長く働いて給料を得るなど、年金以外の収入源を作ることも検討してみましょう。
 

出典

日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について

日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年) 結果の概要

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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