70歳で厚生年金加入中だけど受給資格期間が不足… 高齢任意加入でカバーできる?

配信日: 2023.07.04

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70歳で厚生年金加入中だけど受給資格期間が不足… 高齢任意加入でカバーできる?
厚生年金の場合、原則として会社に勤務していても70歳になると厚生年金に加入する資格を失ってしまいます。そのため、受給できる加入期間に満たないまま70歳に達すると厚生年金を受給できなくなります。しかし、この状況を救済する「高齢任意加入」とよばれる制度があります。
 
本記事では高齢任意加入制度の詳細を解説します。厚生年金の受給資格を満たしていない人は参考にしてください。
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高齢任意加入とは

「高齢任意加入制度」は、厚生年金に関する制度です。国民年金にも同様の制度として、任意加入制度がありますが、本記事で解説するのは厚生年金の制度なので注意してください。
 
高齢任意加入は名称のとおり任意なので、自動的に加入できず自分で申請する必要があります。また、一般的な厚生年金の手続きは事業所が行いますが、高齢任意加入は加入者が自ら年金事務所に申請することになります。
 

高齢任意加入の概要と加入条件

厚生年金、国民年金ともに受給の資格を得られる加入期間(資格期間)は10年です。しかし、厚生年金では以下の条件を満たすと、通常は加入できない70歳以上の人でも資格期間に達するまで加入が可能です。
 

◆厚生年金の適用事業所勤務の場合

・厚生年金の資格期間を満たしていない70歳以上
・高齢任意加入被保険者資格取得申出書を提出済み

 

◆厚生年金の適用事業所以外に勤務の場合

・厚生年金の資格期間を満たしていない70歳以上
・厚生年金保険の被保険者となることについて事業主の同意を得る
・厚生年金保険の加入について、厚生労働大臣が認可を得る
・高齢任意加入被保険者資格取得申出書の提出

 

高齢任意加入の手続き方法

上述のとおり、高齢任意加入の手続きは加入希望者が自分で行います。手続き方法は、図表1のとおりです。
 
【図表1】

提出の時期 任意の時期(70歳以降)
提出先 事業所の所在地を管轄する年金事務所
提出方法 ・電子申請
・郵送
・窓口持参

出典:日本年金機構「70歳以上の方が厚生年金保険に加入するとき(高齢任意加入)の手続き」
 

高齢任意加入の必要書類

手続きに必要な申請書は「高齢任意加入被保険者資格取得申出書」と、添付書類となります。申出書は、国民年金機構のホームページから取得できます。高齢任意加入の申出書に添付する書類は以下のとおりです。
 

◆必須の添付書類

・職歴を記入した書類
・報酬月額を確認できる書類(賃金台帳等)

 

◆申出/申請書に基礎年金番号を記載している場合

・基礎年金番号通知書または年金手帳
・戸籍抄本または住民票の写し(基礎年金番号とマイナンバーがひも付けされていれば不要)

 

◆申出/申請書にマイナンバーが記入されている場合

・マイナンバーカードの提示(郵送で申請の場合は、コピーを提出)
・個人番号が記載された住民票の写し(住民票記載事項証明書)

 

◆共済組合の加入履歴がある場合

・共済組合加入期間確認通知書(年金事務所から提出を依頼されたとき)

 

◆合算対象期間の確認が必要な場合

・戸籍謄本および配偶者の基礎年金番号通知書・年金手帳または年金証書
・パスポートのコピー等、海外に在住したことがわかる書類

 

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高齢任意加入のメリットと注意事項

高齢任意加入をすることでメリットは発生しますが、デメリットはほとんどないと言えるでしょう。しかし、保険料の負担などデメリットと言える部分もあり、注意すべき点もあります。
 
特に高齢任意加入は任意なので、事業所が積極的に手続きを行うことはありません。自身ですべて行う必要があるので、メリットを得るためには注意事項を十分理解したうえで手続きをしましょう。
 

高齢任意加入のメリット

厚生年金の高齢任意加入のメリットは、確実に年金を受給できる点です。通常であれば70歳以降は厚生年金の加入資格はありませんが、高齢任意加入では受給資格を満たすまで加入が可能になります。
 
厚生年金保険料は国民年金保険料に比べて高いですが、年金は老齢厚生年金に老齢基礎年金(国民年金)が上乗せされて支給されます。国民年金でも任意加入は可能ですが、厚生年金を任意加入すると同じ納付期間でより多くの年金の受け取りが可能です。また、事業所の承諾があれば、保険料も半額の負担で済みます。
 

高齢任意加入の注意事項

高齢任意加入制度に関する注意事項は、以下のとおりです。
 

◆高齢任意加入期間中の厚生年金保険料

・適用事業所の場合
事業主の同意が得られる場合は、事業主と本人との折半で納税義務者は事業主となるが、事業主の同意が得られない場合は全額本人が負担、納付義務者は本人となる。本人が督促指定期限までに納付しなかった場合は、資格喪失となる。
 
・適用事業所以外の事業所の場合

保険料負担は、適用事業所の被保険者と同様に事業主と本人との折半、納付義務者は事業主となる。事業主が保険料を滞納した場合は、滞納処分の対象となる。

 
上記のとおり、保険料に関しては事業主の承諾を得られればメリットになりますが、承諾が得られないと通常の2倍の保険料となるのでデメリットとなるでしょう。
 

厚生年金は70歳からでも受給資格が得られるまで任意加入が可能

会社勤めの人は高齢任意加入をすることで、70歳以降も受給資格期間の10年に達するまで保険料の支払いが可能になります。これによって、年金受給が確実にできるようになります。また、個人事業主などの国民年金加入者の場合は、70歳まで任意加入が可能です。こちらは、満額を受け取れる加入期間の40年までとなります。
 
受給資格期間が不足している人は、現在の働き方に応じた任意加入をしましょう。
 

出典

日本年金機構 老齢の年金を受けるのに必要な加入期間を満たしていませんが、70歳を過ぎても厚生年金保険に加入できますか。
日本年金機構 70歳以上の方が厚生年金保険に加入するとき(高齢任意加入)の手続き
日本年金機構 任意加入制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 

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