更新日: 2023.07.06 その他年金

年金は何歳からもらうのがお得? 繰上げ受給と繰下げ受給の損益分岐点は?

年金は何歳からもらうのがお得? 繰上げ受給と繰下げ受給の損益分岐点は?
年金の繰上げ受給や繰下げ受給は、受給額は減るものの年金を通常より早い時期から受給することや、遅らせて年金額を増額することができるため、多くの方が利用しています。しかし、繰上げ受給や繰下げ受給を利用する場合には、将来の年金受給額が損するのではないかと心配する人も多いようです。
 
本記事では、繰下げ受給と繰上げ受給を利用した場合の損益分岐点について解説します。本繰上げ受給や繰下げ受給を計画的に活用し、将来の老後に備えるためにも、ぜひ参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

年金の繰上げ受給と繰下げ受給について

年金の繰上げ受給や繰下げ受給を利用することで、通常65歳の受給開始時期を60歳まで早めたり、75歳まで遅らせたりして年金受給を調整することが可能です。
 
将来の老後の資金計画を計画的に行うためには、年金の繰上げ受給や繰下げ受給の特徴を理解しておくことが重要です。本項では、繰上げ受給と繰下げ受給の特徴について詳しく解説します。
 

繰上げ受給とは

繰上げ受給は、通常65歳から受け取れる年金の受給時期を、60歳から65歳までの間で前倒しして受給する制度です。
 
繰上げ受給を選択すると、1ヶ月繰上げるごとに0.4%、最大24%まで年金受給額が減額されますが(昭和37年4月1日以前生まれの方は月0.5%、最大30%)、年金を早く受け取れます。繰上げ受給で適用された減額率は、一生変わることはありません。
 

繰下げ受給とは

繰下げ受給は、通常65歳から受け取れる年金の受給時期を、66歳から75歳までの間で後ろ倒しして受給する制度です。
 
繰下げ受給を選択すると、年金の受給開始時期は遅くなりますが、1ヶ月繰下げるごとに0.7%、最大84%年金額が増額します。繰上げ年金同様、一度適用された増額率は一生変わりません。
 

【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資

【PR】J.P.Returns

おすすめポイント

・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる

繰上げ受給の損益分岐点

繰上げ年金の減額率は、昭和37年4月1日以前生まれの方の場合「繰上げた月数×0.4%」となるため、1年繰上げた場合は4.8%、3年繰上げた場合には年金額が14.4%減ることになります。
 
例えば、65歳で受け取る年金を100%とした場合、60歳まで繰上げた場合に減額する年金は「100×24.0%」です。そして、5年間で受け取れなかった場合の年金(24.0)で割ると、損益分岐点を算出できます。
 
60歳まで繰上げた場合の損益分岐点は、以下のとおりです。
 
・100×5年÷24.0=20.833年 ⇒ 20.833(20年10ヶ月)年後 ⇒ 60歳+20年10ヶ月=80歳10ヶ月
 
このように、繰上げ年金を開始した時期より20年10ヶ月の「80歳10ヶ月」を経過すると、繰上げ年金を選択しなかった場合よりも、もらえる年金額は少なくなります。
 

繰下げ受給の損益分岐点

繰下げ受給を選択すると、年金の受給開始時期は遅くなりますが、年金額が最大84%増額されます。増額率は、「繰下げた月数×0.7%」となるため、1年繰下げた場合は8.4%、5年繰下げた場合には42%年金額が増えることになります。
 
例えば、65歳で受け取る年金を100%とした場合、70歳まで繰下げた場合に増額する年金は「100×42.0%」です。そして、5年間で受け取れなかった年金(100×5年)を、繰下げたことで増えた年金(42.0)で割ると、損益分岐点を算出できます。
 
70歳まで繰下げ場合の損益分岐点は、以下のとおりです。
 
・100×5年÷42.0=11.904 ⇒ 11.9(11年11ヶ月)年後 ⇒ 70歳+11年11ヶ月= 81歳11ヶ月
 
このように、繰下げ受給を開始した時期より11年9ヶ月後の「81歳11ヶ月」を経過すると、繰下げ受給を選択したほうが、より多くの年金を受け取ることができます。また、繰下げ時期が75歳の場合でも、損益分岐点は変わらず、11年11ヶ月後の86歳11ヶ月となります。
 

年金は自分の状況に合わせて計画的に受給しよう

年金受給を60歳まで繰上げた場合、損益分岐点は20年10ヶ月(80歳10ヶ月)です。つまり、繰上げた時点から20年10ヶ月以上経過すると、繰上げなかった場合と比べてトータルの年金額が減少することになります。
 
一方、75歳まで繰下げた場合、損益分岐点は11年11ヶ月(86歳11ヶ月)です。繰下げた時点から11年11ヶ月以上経過すると、繰下げなかった場合と比べてトータルの年金額が増加します。
 
損益分岐点を理解したうえで、収入や体調などから計画的に繰上げ・繰下げ受給制度を活用するようにしましょう。
 

出典

日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 年金の繰下げ受給
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

LINE

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集