更新日: 2023.07.07 その他年金

自営業の父の年金は「月6万円」、娘として援助すべきでしょうか…?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 高橋庸夫

自営業の父の年金は「月6万円」、娘として援助すべきでしょうか…?
老後の生活費を年金でカバーするつもりでも、実際はそれだけでは不十分なケースも見受けられます。厚生年金に加入していないと不足しやすいので、特に気を付けなければなりません。親にその可能性がある場合、子どもは対応について迷うこともあるでしょう。
 
そこで本記事では、月6万円の年金を将来受給する自営業の父を想定し、その娘が援助したほうが良いのか解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

まず加入者の要件をチェック

前提として、厚生年金と国民年金の加入者に関する要件を確認しておきましょう。
 

・厚生年金

会社や官公庁など、厚生年金保険が適用される事業所で働いている人が加入します。一部の業種を除いて、常に5名以上が勤務している個人の事業所の従業員も同様です。70歳未満であることも要件であり、性別や国籍で除外されることはありません。
 

・国民年金

国民年金の加入に特別な要件は定められていません。日本に住んでいる人は、20歳以上60歳未満の全員が加入しなければならないからです。厚生年金保険の対象者も例外ではなく、第2号被保険者として加入する必要があります。なお、自営業者は第1号被保険者になり、基本的には国民年金保険料のみを支払います。
 

老齢基礎年金と支出のバランス

令和5年度の老齢基礎年金の受給額は、月額で満額のケースで6万6250円です。一方、総務省統計局は2021年の家計調査年報によると、65歳以上の無職世帯の消費支出の平均月額は、単身世帯は13万2476円なので、老齢基礎年金だけでカバーするのは難しいと分かります。
 
2人以上の世帯では、世帯主が65~69歳の場合は26万1123円で、 70~74歳の場合は23万9704円となっています。年齢の上昇につれて消費支出の金額は下がりますが、75歳以上の場合でも21万24円あり、どの段階でも老齢基礎年金だけでは足りません。また、これら以外にも、税金や社会保険料といった非消費支出が生じます。
 
なお、持ち家があるなら住居費がある程度は減りますが、それだけで解決に至ることは期待できません。仮に単身世帯の家賃を5万円、2人以上世帯の家賃を10万円と見積もり、それらを上記の消費支出から引いたとしても、やはり老齢基礎年金だけでは不足してしまうからです。
 

親子の共倒れを避けることも重要

父の将来受給する老齢基礎年金が6万円なら、前述の満額をもらえるケースを下回るのですからより厳しい状況になります。娘として仕送りなどを行えると理想的ですが、本人も経済的に余裕がないかもしれません。
 
無理に援助しようとすると、親子が共倒れになってしまうリスクもあります。それを避けたいなら、65歳以降も働き続け、繰下げ受給を選択し年金額の増額を試みるなど、まず年金制度の範囲内で解決できないか考えることが大事です。
 
また、同一世帯の市町村民税が非課税なら、年金生活者支援給付金を申請すると、老齢基礎年金に上乗せする形で受け取れます。このようなアプローチを実施し、資産などをすべて活用しても困窮が続くなら、最終手段として生活保護制度の利用も検討しましょう。
 

不足分を考慮して対策! 親子が安心できる状態を目指そう

厚生年金に加入しておらず、老齢基礎年金しか受給できないと、老後の生活費をまかなえない可能性があります。65歳以上の世帯の平均支出をチェックしておくと、将来にどれくらい不足するのか見通しを立てやすいです。子どもが援助するときは共倒れになることがないように、公的な支援制度の利用も視野に入れ、効果的な対策を実施しましょう。
 

出典

日本年金機構 国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)結果の概要

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 
監修:高橋庸夫
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