更新日: 2023.07.08 その他年金

母の年金額は「月5万円」。60歳で受給すると言っていますが、早く受け取ると年金はどれくらい「減る」のでしょうか…?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 高橋庸夫

母の年金額は「月5万円」。60歳で受給すると言っていますが、早く受け取ると年金はどれくらい「減る」のでしょうか…?
老後生活を支えてくれる年金。では、国民年金しか加入しておらず、将来の年金額は「月5万円」という母親が、65歳から支給される年金を60歳で受け取った場合、年金額はどのくらい減るのでしょうか。
 
そこで、本記事では「繰上げ受給」した場合の減額率を解説します。あわせて、60歳で年金を受け取った場合、月々の生活費はいくら不足するのかも紹介していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

繰上げ受給とは?

年金は原則65歳から受給できます。ただし、希望すれば60歳から65歳になるまでの間に受け取ることも可能です。これを「繰上げ受給」といいます。通常よりも早く年金を受け取ることができるため、収入が少ない人などには一見よい方法のように思えます。しかし、早く受け取れば受け取るほど、老後の年金額は減ってしまうため、注意が必要です。しかも、その減額率は取り消しできず、一生変わることがありません。
 
年金の減額率はひと月当たり0.4%で最大24%です。減額率は「0.4%×繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数」の計算式から求めます。年金額が月5万円の母親が60歳で受け取るとすると、減額率は24%です。そのため、受け取ることができる年金額は、月額3万8000円になります。
 

年金が月5万円の場合の不足分とは?

総務省統計局が発表した「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、「高齢単身無職世帯の消費支出と非消費支出の合計(月平均額)」は15万5495円です。そのため、年金が月5万円の場合、毎月10万5495円の生活費が足りないことになります。早く年金を受給した場合はさらに年金額が減るため、60歳からとすると毎月11万7495円足りなくなります。
 
ただし、先に述べた高齢単身無職世帯の消費支出の8.9%を占める住居費は家賃を含んだ金額です。持ち家の場合、設備修繕・維持の費用などは必要ですが、家賃が不要となるため、その分、生活費の不足分は減るでしょう。
 

繰上げ受給と繰下げ受給のメリット・デメリットとは?

繰上げ受給のメリットは、早く年金を受け取ることができることです。デメリットは、早く受け取った分、年金受給額が減ることです。また、繰上げ受給すると、国民年金の任意加入や保険料の追納、寡婦年金や障害基礎(厚生)年金の請求ができなくなります。
 
一方、65歳で受け取らずに66歳以後75歳までの間で繰り下げて増額した年金を受け取ることができます。これを「繰下げ受給」といいます。繰下げ受給のメリットは、年金額が増えることです。増額率はひと月ごとに0.7%で最大84%です。増額率は「0.7%×65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数」という計算式から求めます。
 
デメリットは、年金をもらうのが遅くなることです。繰下げ受給では66歳以後75歳までの間に受け取ることになります。もし長生きできなかった場合、65歳で受給する、または繰上げ受給したほうが総額では多くの年金をもらえる可能性もあります。繰上げ受給するか、65歳で受給するか、繰下げ受給するか、それぞれのメリットとデメリットを踏まえてよく考えるようにしましょう。
 

60歳で受給すると年金の減額率は24%に

年金額が月5万円の母親が60歳で受け取るとすると、減額率は24%です。そのため、受け取ることができる年金額は、月3万8000円となります。高齢単身無職世帯の消費支出と非消費支出の合計(月平均額)は15万5495円です。年金が月3万8000円の場合、毎月11万7495円足りなくなります。不足分を貯蓄でおぎなったり働き続けたりする必要があるでしょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 
監修:高橋庸夫
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