更新日: 2023.07.11 その他年金

ずっと支払い続けたのに。年金受給前に亡くなったら、年金はどうなる?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

ずっと支払い続けたのに。年金受給前に亡くなったら、年金はどうなる?
老後を安心して過ごすための経済的支えとなるものが年金です。健康な老後を過ごせる人も多くなっていますが、もし、その受給前に人生が終わってしまった場合、若いころから毎月支払ってきた年金保険料はどうなるのでしょうか。
 
ここでは、そのような疑問を解消すべく、日本の年金制度の概要と、年金受給前に亡くなった際の対応、そして遺族年金制度について詳しく見ていきます。
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日本の年金制度の概要

日本の年金制度は、一般的に「国民年金」と「厚生年金」の二つの制度から構成されています。これらは一定の年齢に達した時点での所得補償が目的です。国民年金は、主に自営業者やパートタイマー、無職の方などを対象に、全国民が参加する基礎年金制度となっています。
 
一方、厚生年金は、企業に所属する従業員を対象に、基礎年金に加えて厚生年金部分が上乗せされる制度です。現在は、これらに加えて、企業年金や個人型確定拠出年金(iDeCo)などの制度もあります。以上のような年金制度を利用することで、一定の年齢に達した際、あるいは障がいや病気などで働けなくなった場合に、受給ができます。
 
特に重要なのは、被保険者が亡くなった場合でも、その遺族が受け取れる制度の存在です。亡くなった月までに受け取っていない年金を遺族が受け取れる「未支給年金」や、条件によっては受給可能な「遺族年金」があります。
 

遺族年金制度について

遺族年金とは、亡くなった人の遺族が受け取ることができる年金制度の一つで、遺族の生活を守る重要な役割を担っています。遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の二つが存在します。国民全員が対象となる遺族基礎年金と、厚生年金加入者の遺族が対象となる遺族厚生年金です。
 

・遺族基礎年金

遺族が受け取ることのできる年金制度で、特定の条件を満たした国民年金の被保険者が亡くなったときに支給されるものです。具体的な要件としては、被保険者が死亡した場合、60歳以上65歳未満で日本国内に住所を有していた場合、老齢基礎年金の受給権者または受給資格者が死亡した場合などが挙げられます。
 
保険料納付済期間が一定期間以上必要となるなどの制約もあります。なお、受給対象者は、生計を維持されていた配偶者や子どもで、遺族厚生年金との併給も可能です。子どもとみなされる年齢は、基本的に18歳未満ですが、障がいのある場合は20歳未満までが受給対象となります。
 
年金額は、配偶者や子の年齢や人数により変わります。例えば、子のある配偶者が受け取る場合は、67歳以下なら年間、79万5000円に子の加算額を加えた金額です。また、68歳以上なら79万2600円に子の加算額を加えた金額が支給されます。子が受け取る場合は、79万5000円+2人目以降の子の加算額を、子の数で割った額が1人あたりの額となります。
 

・遺族厚生年金

次に述べるいずれかの要件を満たした人が死亡した際に、遺族に支給される年金です。その要件とは、厚生年金保険の被保険者であること、病気やけがが原因で5年以内に死亡していること、障害厚生年金を受け取っていたこと、老齢厚生年金の受給権者であったこと、などのいずれかの場合です。
 
ただし、厚生年金被保険者としての保険料納付済期間が、国民年金加入期間の3分の2以上必要とされています。受給対象者は、死亡者に生計を維持されていた遺族で、優先順位が設けられています。
 
遺族厚生年金の年金額は、死亡者の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。また、一部の遺族に対しては、特定の条件下で、「中高齢寡婦加算」や「経過的寡婦加算」が行われます。なお、65歳以上で自身の老齢厚生年金の受給権を有する遺族厚生年金の受給者は次の点に注意が必要です。老齢厚生年金は全額支給されますが、遺族厚生年金は一部停止されるという規則があります。
 

残された家族に支給される年金制度について確認しておこう

日本の年金制度では、被保険者が亡くなったとしても、あとに残された遺族が保護の対象となる場合があります。ただし、受給を受けるには所定の条件を満たしていること、また、必要書類の提出を適切に行うなどの必要があります。家族が年金を受給する時期に来たら、あらかじめ「未支給年金」や「遺族年金」の概要や申請方法について調べておくことをおすすめします。
 

出典

日本年金機構 身近な方が亡くなったとき
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族年金
日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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