知らないと「月13万円」の損!? 糖尿病の夫が透析を受ける場合、「障害年金」を受け取れるって本当?
配信日: 2023.07.12
糖尿病があり人工透析について気にしている人、あるいは人工透析を行っている人もいるかもしれません。実は人工透析を行っていると障害年金を受け取れます。
本記事では、人工透析で障害年金を受け取る場合の注意点や受給できる金額について解説します。
執筆者:齋藤彩(さいとう あや)
CFP
人工透析は障害年金の受給対象
人工透析は原則「障害等級2級」に該当し、程度によっては1級に該当することもあります。
「人工透析をしているけれど仕事をしているので、自分は障害年金を受給できない」と思っている人もいるかもしれません。しかし、要件を満たせば仕事をしていても受け取れます。障害年金の請求時期についても確認しておきましょう。
通常、障害年金を請求できるようになる障害認定日は「初診から1年6ヶ月を経過した日」ですが、人工透析は例外で、「人工透析を初めて受けた日から起算して3ヶ月を経過した日」が認定日となります。
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受給できる障害年金額
障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金があります。自営業等で国民年金のみに加入している場合は、障害基礎年金のみの受取となります。
厚生年金加入中に人工透析となり要件を満たす場合は障害厚生年金と障害基礎年金を受け取れます。障害年金の等級と年金額は、図表1のとおりです。
図表1
日本年金機構 障害年金ガイド 令和5年度版
障害基礎年金
2023年7月時点の障害基礎年金は、病気やけがの程度に応じて1級と2級に分かれ、年齢により受給金額が異なります。
1級の場合は年間99万3750円または99万750円に子の加算をした金額を受給できます。2級の場合は、年間79万5000円または79万2600円に子の加算をした金額となります。子の加算額は2人までは1人につき22万8700円、3人目以降は1人につき7万6200円です。
障害厚生年金
障害厚生年金は、病気やけがの程度に応じて1~3級まであります。
1級の場合の受給額は「報酬比例の年金額×1.25倍」となります。2級の場合は報酬比例の年金額、3級の場合は報酬比例の年金額ですが、最低保障額が定められており年間59万6300円または59万4500円です(年齢によって異なります)。
また、1級と2級は対象となる配偶者がいる場合、加給年金として22万8700円が加算されます。なお、障害厚生年金の場合は3級と認められない場合でも一定要件を満たせば「障害手当金」を受給できます。
夫が年収300万円の場合、障害年金は1ヶ月あたり13万7143円
45歳、年収300万円(月の額面25万円)の夫が人工透析で障害等級2級に該当し、障害年金を受給する場合、受給できる金額について見ましょう。計算にあたり次のように仮定します。
・家族構成は42歳の妻と15歳の子どもが1人
・夫は22歳から23年間厚生年金に加入(2003年4月以降に厚生年金に加入)
上記の場合、受給できる障害基礎年金は次の通りです。
79万5000円+22万8700円(子の加算)=102万3700円
また、受給できる障害厚生年金は次の通りです。
26万円×5.481/1000×276ヶ月(報酬比例の年金額)+22万8700円(加給年金)=62万2016円
※小数点以下切り捨て
障害基礎年金と障害厚生年金の合計額は
102万3700円+62万2016円=164万5716円となります。1ヶ月あたり13万7143円です。
まとめ
本記事では、人工透析が障害年金の受給対象となること、受給できる障害年金額と年収300万円で人工透析となった場合の受給金額について解説しました。
人工透析は仕事をしていたとしても障害年金を受給できることを知っておきましょう。
出典
一般社団法人日本透析医学会 わが国の慢性透析療法の現況(2021年12月31日現在) 第2章 2021年慢性透析患者の動態
厚生労働省 健康日本21 糖尿病
日本年金機構 人工透析を行っている方へ
全国健康保険協会 令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)
執筆者:齋藤彩
AFP