更新日: 2023.07.14 厚生年金

厚生年金の保険料が高くて困ってます。下げる方法を教えてください。

執筆者 : 柘植輝

厚生年金の保険料が高くて困ってます。下げる方法を教えてください。
「厚生年金の保険料が高い。」多くの方が一度はそのように感じたことがあるでしょう。毎月数万円単位の保険料が差し引かれており、それが少しでも下がってほしいと願っている方も少なくないはずです。そこで、厚生年金の保険料を下げる方法があるのかを考えてみました。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

厚生年金保険料の決まり方

厚生年金保険料は原則毎年4月から6月に支払われる給与を基にして決定されます。具体的には4月から6月の間に受け取る給料や交通費など各種手当を含めた総額を平均し、その金額を32区分の等級に当てはめ、負担することになる厚生年金保険料が決定されます。
 
例えば給与が、4月に24万円、5月に28万円、6月に27万円とします。そうすると平均額(報酬月額)は26万3333円となり、報酬月額が25万円から27万円の間にある場合の等級は17となります。等級が17の方が毎月負担する保険料は2万3790円になるというわけです。
 

4月から6月に受け取る給与を下げるのが効果的

厚生年金保険料を下げる方法のひとつに、4月から6月に受け取る給与が高くならないようにするという方法があります。厚生年金保険料は年1回、この3カ月間の給与を基に決まった金額を毎月支払っていくため、いかにここを抑えるかで厚生年金保険料の負担が変わります。
 
ポイントは、あくまでも4月から6月の給与に支払われる給与で決まるという点です。月末締めで計算した給与を翌月に支払うという企業が多いことから、3月から5月に調整し、4月から6月に受け取る給与を少なくすれば厚生年金保険料が下がるというわけです。
 
例えば、3月から5月が繁忙期でなければ、業務や雑務を調整してこの時期の残業はなるべく控え、他の月に業務や雑務をこなすという具合です。
 

盲点となる交通費

意外と盲点となっているのが交通費です。交通費は、非課税として所得税や住民税が発生しません。しかし、厚生年金保険料を計算する際の給与には、交通費が含まれます。
 
徒歩や自転車通勤という場合はともかく、郊外から都心へ通っているような場合は、月の交通費が1万円以上かかるということもあります。この交通費によって等級が1つ上がり、保険料が高くなっていることもあるのです。
 
例えば、報酬月額が25万4000円の方が引っ越しをして交通費が5000円下がると等級が1つ下がり、保険料は2万3790円から2万1960円と1830円安くなります。
 
交通費の削減は引っ越しが伴うため簡単にはできませんが、通勤にかかる負担の削減をしつつ厚生年金保険料の削減もできると考えれば、実行したいという人もいるかもしれません。
 

給与が減額された場合は随時改定の手続きを

もし、基本給など固定給が下がり、給与が減った月から起算した3カ月間の給与について、報酬月額と連動している等級がこれまでより2等級以上下がった場合、随時改定という仕組みによって、翌年4月から6月の定時決定を待たずに厚生年金保険料を下げることができます。
 
例えば、これまで等級が17であった方が、給与形態の変更が起こったことで15相当の給与になった場合、等級を15に下げるという手続きです。
 
随時改定は雇用主を通じて行います。基本的に雇用主が給与の変動時に行っているはずですが、気づかなかったり失念したりしているということもあります。詳細については事業主へご相談ください。
 

厚生年金保険料は工夫次第で下げることもできる

そう簡単なことではありませんが、工夫次第で厚生年金保険料は下げることもできます。しかし、将来の年金給付は支払った厚生年金保険料に比例します。過度に厚生年金の保険料を減らしてしまうと将来の給付も減り後悔してしまうこともあり得るでしょう。
 
そうと考えると、厚生年金の保険料は可能であれば下げるよう行動してみることもできますが、基本的には将来への備えとして割り切って受け入れるのがよいかもしれません。
 

出典

令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)
 
執筆者:柘植輝
行政書士
 

ライターさん募集