更新日: 2023.07.20 厚生年金

生涯で「100万円」以上!? 年金の「経過的加算」でいくら受け取れるか具体的に計算してみた!

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

生涯で「100万円」以上!? 年金の「経過的加算」でいくら受け取れるか具体的に計算してみた!
毎年誕生月になると「ねんきん定期便」が届き、50代からは将来の年金受給額の見込みが確認できます。その中の「経過的加算」という文字を見て、意味が分からない人も多いのではないでしょうか。
 
本記事では、経過的加算の内容や、具体的にいくらもらえるのか、解説します。
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「経過的加算」とは

経過的加算は厚生年金から支給される年金の一部です。厚生年金のメインは「報酬比例部分」という、会社員などとして働いてきた期間の加入月数と平均給与額で計算される部分です。経過的加算は、さらにプラスアルファで支給される部分です。
 
年金は国民年金と厚生年金の2階建てで、原則65歳から受け取れます。しかし、年齢などの条件を満たせば60~65歳の間、特別支給の老齢厚生年金を受け取ることが可能です。
 
65歳以降に特別支給の老齢厚生年金が支給されなくなると、特別支給の老齢厚生年金の老齢基礎年金に当たる「定額部分」よりも、老齢基礎年金の金額のほうが少なくなることがあります。このような場合、今まで受給していた「定額部分」を保障するために、65歳以降にその差額を老齢厚生年金に上乗せして支給するのが経過的加算です。
 

経過的加算の計算方法

経過的加算は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分と、同一期間に対応する老齢基礎年金の差額を受け取れます。そして、定額部分と、同一期間に対応する老齢基礎年金の計算式は原則として次のとおりです。
 

<定額部分>

1657円×厚生年金加入月数(上限480ヶ月) ※68歳以上の場合は1652円

 

<同じ期間に対応する老齢基礎年金>

79万5000円×20歳以上60歳未満の厚生年金加入月数÷480

 
それでは具体的に、23歳から63歳までの40年間厚生年金に加入した場合の経過的加算を計算してみましょう。
 

・定額部分:1657円×480ヶ月=79万5360円
・老齢基礎年金:79万5000円×37年×12ヶ月÷480=73万5375円
・経過的加算:79万5360円-73万5375円=5万9985円

 
経過的加算は現状、生きている限り支給されるので、仮に85歳まで生きたとすると、約120万円が生涯で受給できます。
 

経過的加算はいずれなくなる?

年金における「経過的」とは、あくまでも一時的なもので、将来はなくなるという意味が含まれています。経過的加算についても、1985年の改正において設けられたものの、将来的にはなくなっていく可能性はじゅうぶんあります。
 
とはいえ、急になくしてしまうと現在受給している人からの不満や、これから対象となり得る人にとっての不公平感につながるかもしれません。一概には言えませんが、少なくとも急になくなることはないものと考えられます。
 

まとめ

経過的加算は65歳を境に年金額が減少することを避けられる制度です。毎年受け取れる金額は厚生年金のメインである報酬比例部分と比べると少ないですが、生涯受け取れるので、トータルすれば決して少ない金額ではありません。
 
60歳以降も働くことで、報酬比例部分とあわせて年金額を増やせる可能性もあるので、今一度「ねんきん定期便」などで加入期間を確認してみましょう。
 

出典

日本年金機構 か行 経過的加算
日本年金機構 年金給付の経過措置一覧(令和5年度)
厚生労働省 [年金制度の仕組みと考え方] 第3 公的年金制度の体系(年金給付)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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