更新日: 2024.09.19 その他年金

月15万円の年金収入があった夫に先立たれた妻は、「遺族年金」をいくら受け取れる?

月15万円の年金収入があった夫に先立たれた妻は、「遺族年金」をいくら受け取れる?
年金受給中の夫に生計を維持されていた妻は、遺族年金を受け取ることができます。ここで気になるのが、遺族年金の支給額がいくらになるのかという点です。金額次第では、今後の妻の生活が大きく変わることもあります。
 
そこで、月15万円の年金収入を有していた夫が亡くなった場合に、妻が受け取る遺族年金について考えていきます。なお当記事で記載する年金額は、令和5年度のものとします。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

上記ケースで、妻は遺族厚生年金を受け取れる可能性が高い


夫に先立たれた妻が受け取れる可能性のある遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金とがあります。亡くなった夫が年金収入15万円を有していた場合、妻が受け取れる遺族年金は、基本的に遺族厚生年金となるでしょう。老齢基礎年金の支給額を月に6万6250円程度とすると、年金を月に15万円も受け取れる夫であれば、老齢厚生年金も一緒に受け取っているはずです。
 
夫に生計を維持されていた妻が、遺族厚生年金を受け取ることができる場合は、夫自身の年金の保険料納付済み期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上あるときです。多くの老齢厚生年金受給者はこの期間要件も満たしている可能性が高く、上記ケースの場合も、遺族厚生年金の受給要件は満たしているものと考えて差し支えないでしょう。
 
なお限定的ではありますが、18歳になる年度の3月31日までにある子や、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある子を有する妻であれば、遺族基礎年金も受け取れる可能性があります。
 

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妻が受け取る遺族厚生年金の額は?


妻が受け取る遺族厚生年金の額はおおむね、夫の老齢厚生年金の額の4分の3に相当する額です。夫が月15万円の年金を受け取っている場合、老齢基礎年金を除くと、老齢厚生年金部分の額は8万3750円になります。すると、妻が受け取る遺族厚生年金の額は、およそ月6万2813円となる見込みです。
 
このとき妻が40歳以上65歳未満であれば、65歳までの間は、年間59万6300円の中高齢寡婦加算が上乗せ支給されます。それによって、年間で受け取る遺族厚生年金と中高齢寡婦加算の総額は、135万56円となる見込みです。月額換算では11万2505円程度となるでしょう。
 
また遺族厚生年金は、妻本人の老齢基礎年金とともに受け取ることができます。仮に妻が65歳以上で、老齢基礎年金が満額支給されるとすると、妻は遺族厚生年金と合わせて、月に約12万9063円の年金を受け取ることができます。
 
なお、妻が65歳以上であり、妻自身も老齢厚生年金を受け取れるという場合は、注意が必要です。妻自身の老齢厚生年金は全額支給されますが、遺族厚生年金に関しては、老齢厚生年金相当額の支給が停止されます。その理由は、妻自身の納めた厚生年金保険料を、もらえる金額に反映させるためといわれています。
 
図表

出典:日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
 

遺族厚生年金を受け取るには手続きが必要

遺族厚生年金は、条件に該当すれば自動で支給されるものではありません。受給のためには最寄りの年金事務所、または街角の年金相談センターにて、決定請求の手続きが必要になります。
 
その際は、妻自身の基礎年金番号を証明できる書類のほか、夫との続柄の記載された戸籍謄本や、世帯全員の住民票の写しなどが必要となります。状況次第では、他の書類も必要となることがあります。
 
そういった個別の事情を踏まえ、遺族厚生年金の受給手続きをする際は、あらかじめ電話で相談の上、持参する必要書類を準備しておくと、よりスムーズに手続きを進められるでしょう。
 

夫の年金が15万円なら妻の遺族年金は12万円前後となる

個別具体的な条件によっても異なりますが、夫の年金額が月15万円の場合、妻が受け取る遺族年金(中高齢寡婦加算や自身の老齢基礎年金など含む)は12万円前後の額となるでしょう。
 
遺族年金は受給額だけでなく、受給要件や必要な手続き、添付書類などが厳格に定められています。状況次第では、今回のシミュレーションとは異なる結果になることもあります。個別の事情を加味した詳細については、必ず最寄りの年金事務所などに相談し、確認をするようにしてください。
 

出典

日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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