更新日: 2023.07.24 その他年金

新卒からずっと平均して「年収400万」だった場合、年金はいくら受け取れる?

新卒からずっと平均して「年収400万」だった場合、年金はいくら受け取れる?
会社員が受け取る年金の額は、おおむね年収に比例します。なぜ、年収によって会社員の受け取る年金の額は変わるのでしょうか。また、新卒から定年まで平均して年収が400万円だったという場合、将来の年金はどれくらいになるのでしょうか。とある新卒の方からの相談を例に、考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

年収によって年金の額が変わるのはなぜ?

会社員が受け取る年金は、国民年金と厚生年金です。国民年金部分の額は、収入に関係なく、単純に保険料を納めてきた月数(最大で480月)に比例します。
 
一方、厚生年金の部分の支給額は、加入年数やその間納めてきた保険料の額に比例していきます。そして、厚生年金の保険料は上限こそあるものの、基本的には収入に比例して高くなります。
 
つまり、年収が高く、長く厚生年金に加入していた人ほど将来受け取る厚生年金も高くなるというわけです。それではどのように計算するか、簡単に確認していきましょう。厚生年金の支給額の大部分は報酬比例部分で構成されます。そして、平成15年4月以降、この報酬比例部分による支給額は以下のように決定されます。
 
・報酬比例部分=平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入月数
 
計算式を見ると、平均標準報酬額を基準に年金額が決まっていることが分かります。平均標準報酬額は、ほぼ年収に比例します。それゆえ、年収によって厚生年金の支給額が変わるというわけです。
 

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新卒からずっと平均して年収400万円だった場合の年金は?

では、新卒から60歳で定年を迎えるまでの間の平均年収が400万円だったと仮定して、65歳からどれくらいの金額の年金を将来受給できると予想されるか考えていきましょう。
 

●1990年10月1日生まれ
●年収400万円
●20歳から22歳は学生として国民年金に加入して保険料を納付
●23歳から60歳まで就労
●厚生労働省の公的年金シミュレーターを使用

 
すると、65歳から受け取れる年金は合計で158万円となります。
 
月額換算で13万1000円ほどです。総務省の家計調査によれば、令和4年の65歳以上の高齢単身無職世帯の1ヶ月あたりの支出は15万5495円でした。夫婦2人の世帯では、26万8508円となっています。2人世帯の場合は配偶者の年金もあるため一概には言えませんが、平均年収400万円で新卒から60歳まで働いても、年金だけでの生活は厳しそうです。
 

平均年収400万円で65歳まで働き続けるとどうなる?

今現在、60歳でいったん定年を迎えたとしても、再雇用や定年延長、再就職などで65歳までは働くという方も少なくありません。
 
では、先ほどと同じ条件で65歳まで働いたと仮定しましょう。すると、年間に支給される年金額は178万円と20万円増加する見込みです。月額換算すると、14万8000円ほどと、1万7000円ほども増えることになります。単身者であれば工夫次第で生活していくことも不可能ではなさそうです。
 
その点を考えると、再雇用などで65歳まで働くことは、老後の経済的な不安解消につながると言えそうです。
 

70歳まで働くとどうなる?

厚生年金は、最大で70歳まで加入することができます。では、平均年収400万円で70歳まで加入したと考えてみましょう。すると、70歳以降に受け取る年金は、194万円と65歳まで働いた場合に比べてさらに16万円ほど増える計算になります。
 
毎月受け取れる年金額は、およそ16万2000円と、さらに1万4000円程度増えることになります。統計上、平均的な単身者の支出であれば、年金のみで生活できるだけの収入になっています。年金だけで生活したいという場合、70歳まで働くことが理想でしょう。
 

まとめ

新卒から定年まで平均年収が400万円であると仮定した場合、定年時期によって受け取る年金額は年間で152万円から188万円となることが想定されます。
 
老後について考える際は、将来想定される支出と必要な年金額について試算し、それに応じて必要な額の年金を受け取るために何歳まで働くか考えてみてください。そうすることで、老後をより豊かにすることができるでしょう。
 

出典

総務省 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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