更新日: 2023.07.25 その他年金
父が定年後に働きすぎて「年金停止」に!いくら以上稼ぐとそうなる?
そこで、働きながら年金を受け取る場合、どれくらい稼ぐと年金が支給停止になるのか、ある親子から相談された事例を基に考えていきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
なぜ年金が支給停止になるの?
年金は、退職後における老後の生活を保障するための制度です。もし、年金をもらう年齢であってもまだ十分な収入があり、それだけで生活できるにもかかわらず、年金を満額受け取るとなれば、同じ高齢者間でも大きな差が付いてしまいます。
そこで、一定額以上収入があり、現役世代と同等と考えてもいいだろうというほど収入を有する方の場合は、年金の支え手に回ってもらい、公平を図ろうという考えが生まれました。そこから生まれたのが、年金の支給額に制限を加える在職老齢年金という制度です。
つまり、相談者のお父さまの年金が停止された理由は、在職老齢年金の適用されるほど収入が高かったからということになります。
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どれくらい稼ぐと支給停止になる?
では、実際にどれくらい収入があると年金の支給が停止になるのか計算してみましょう。実際に年金が支給停止される金額について、計算式で示すと以下の通りになります。
・停止される年金額=(基本月額+総報酬月額相当額-48万円)÷2
上記を簡潔に言い換えると、基本月額とは年金相当額のこと、総報酬月額相当額年金は給料相当額のことを指します。すなわち、年金と給料の合計が48万円を超えると、支給される年金が減額され始めるというイメージです。
そして、給料と年金の合計から48万円を引き、それを半分にした金額が年金額と同等以上になった場合に、年金の支給が停止されるという具合です。
仮に、年金を月13万円受け取っていた方の場合、61万円以上の給与を受け取ると年金が全額支給停止されるということになります。
・(13万円+61万円-48万円)÷2=13万円(年金から停止される金額)
なお、在職老齢年金はずっと適用されるわけではなく、年金と給与の合計が48万円を下回るようになれば、年金が減額されなくなります。また、厚生年金に加入できるのは70歳までです。そのため、70歳以降は在職老齢年金が適用されなくなり、年金も減額されなくなります。
どうすれば在職老齢年金にかからないようにできる?
相談者のお父さまはまだまだ働きたい、しかし働き過ぎれば在職老齢年金にかかって損をした気持ちになってしまうと嘆いていたようです。そんな場合は、働き方を変えるのが有効です。
有効な方法の一例として、雇用形態を業務委託に切り替える方法があります。いわゆる個人事業主やフリーランスという形で働くということです。在職老齢年金は60歳以降、厚生年金に加入する場合に適用されるものです。
そもそも、厚生年金に加入できないフリーランスや個人事業主であれば、どれだけ収入が高くとも在職老齢年金にかかりません。勤務先にもよりますが、相談してみる価値はあるでしょう。勤務先としてはお父さまを厚生年金に加入させる必要がなくなるため、会社負担の社会保険料が削減できるというメリットもあり、受け入れてもらえる可能性もあります。
定年後も働くなら在職老齢年金に注意
定年後も厚生年金に加入しながら働く場合、年金と給与の合計額が月48万円を超えると、支給される年金が一部が減額され、場合によっては支給が停止されます。
突然年金の支給が停止されて損をしてしまったと感じないよう、定年後も働き続ける際は在職老齢年金について確認するようにしてください。そのうえで、どうするのが最も納得した形で給料と年金を得られるのか考えて働き方について決定することをおすすめいたします。
執筆者:柘植輝
行政書士