更新日: 2023.07.26 その他年金

障害厚生年金の配偶者加給年金とその加算条件(1) いつから加算される?

執筆者 : 井内義典

障害厚生年金の配偶者加給年金とその加算条件(1) いつから加算される?
病気やけがが原因で障害が残った場合のための障害厚生年金や障害基礎年金があります。そのうち障害厚生年金には配偶者がいることによる加給年金の加算制度があります。その加算条件はどのようになっているのでしょうか。また、加算されなくなってしまう場合もあるのでしょうか。今回と次回、全2回で取り上げます。
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

配偶者加給年金は障害等級1級・2級の場合が対象

障害年金の概要は【図表1】のとおりです。国民年金制度の障害基礎年金は障害等級1級・2級に該当した場合を対象とし、厚生年金保険制度の障害厚生年金は1~3級に該当した場合を対象としています。それぞれ、初診日(障害の原因となる傷病について初めて医師等の診療を受けた日)での要件や保険料の納付要件を満たせば支給されます。
 
そのうち障害厚生年金には配偶者がいることによって加算される加給年金があります。障害厚生年金の障害等級が1級・2級の場合に加算がされることになり、3級の場合は加算されません。そして、その加算額は年間22万8700円(2023年度)です。
 
図表1
 
その配偶者加給年金は、生計を維持された65歳未満の配偶者がいることが加算条件となっています。障害年金の受給権が発生した当時、配偶者と同居などで生計を同じくし、さらに、配偶者の年収が850万円未満(あるいは年間所得が655万5000円未満。以下同じ)となっていれば、生計維持されていることとなり、加算が始まります。配偶者の収入がそれほど高くなければ加算されるといえるでしょう。
 
加給年金が加算されると、次回(2)で取り上げる支給停止となる場合を除いて、配偶者が65歳になるまでは、加算を受けることもできるでしょう。
 

障害厚生年金を受給開始後に結婚しても対象に

この障害厚生年金の配偶者加給年金については、障害厚生年金の受給権発生時点で生計を維持された配偶者(65歳未満)がいる場合だけを対象としているわけではありません。障害年金加算改善法(2011年4月施行)により、受給権発生当時は配偶者がいなくても、受給開始後に結婚して、配偶者(生計維持あり)がいる場合も対象です(【図表2】)。
 
図表2
 
また、受給権発生時点で、配偶者の850万円未満という所得要件を満たしていないことによって加算されていない場合、その後850万円未満になって生計維持が確認できれば加算されるようにもなります。この点、65歳到達・受給権発生時(原則)のみ加算の可否の判定をする老齢厚生年金の加給年金制度とは異なっています。
 
以上のように、障害厚生年金の加給年金の加算条件を確認し、現時点で加算されていなくても、後で加算され始めることもありますので、対象になりそうな場合は年金事務所等で相談してみましょう。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

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