更新日: 2023.07.31 その他年金

都内在住、55歳男性。年金は「月14万円」らしいけど、都内に住みつづけて大丈夫?

執筆者 : 柘植輝

都内在住、55歳男性。年金は「月14万円」らしいけど、都内に住みつづけて大丈夫?
55歳、都内在住の男性からこんな質問がありました。
 
「年金額が月14万円なのですが、老後も都内に住みつづけることは可能でしょうか?」
 
同様の質問は定期的に寄せられており、年金生活を都内で送ることに不安を感じている方は、少なくないようです。そこで、年金額が月14万円の場合、老後も都内に住みつづけても大丈夫なのか考えてみました。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

月14万円の年金収入だけでの生活は難しい

一般的に月14万円の年金だけで生活することは、都内に限らず、そう簡単ではないでしょう。総務省の「家計調査報告」においても、65歳以上の高齢単身無職世帯における支出は、下記のように15万円を超えており、2万円以上の赤字が生じています。
 
図表
 

 
出典:総務省 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
 
ただ、実際にはそれ以上に不足する可能性もあります。上記表のうち、住居費はわずか8.9%で、額にするとわずか1万3000円ほどです。持ち家ならともかく、都内で賃貸住まいとなると、地域にもよりますが、居住費がもう6万円から8万円ほど必要になるでしょう。
 

老後も都内に住みつづけるにはどうしたらいい?

年金収入が14万円であることを前提に、東京都内に住みつづける場合、就労して他にも収入を得たり、貯金や資産を切り崩したりしながら生活していくことになるでしょう。それが可能であるかどうかが、都内に住みつづけても大丈夫かどうか考えるに当たり、判断基準のひとつとなります。
 
仮に、単身者で賃貸暮らしのため毎月21万円の生活費が必要だとします。この場合、不足する7万円の生活費を、就労や貯金の切り崩しで賄うことになります。
 
就労できるのであれば、シルバー人材センターでの紹介やアルバイトなどで、時給1072円で週3日、1日当たり5時間から6時間働くだけで、月におよそ6万4000円から7万7000円の収入を得ることができます。これだけあれば、年金収入が14万円でも、都内に住むために必要な最低限の生活費を確保することができるでしょう。
 
ただし、この場合老後もずっと働きつづけることになるため、将来的にはいつか無理が生じる可能性もあります。安心して都内に住みつづけるためには、仮に65歳から85歳まで生きると仮定し、その20年間で不足する生活費、総額1680万円ほどを賄えるだけの貯金や資産を確保しておくべきです。
 
それだけあれば、就労できなくなってお金が稼げなくとも、すぐには生活が破綻せず、ある程度安心して生活していくことができます。
 

それでも不安が残る場合は?

「年金が14万円だけでは生活が不安」と感じる場合は、年金額を増やすという方法も使えます。
 
年金は65歳以降、1ヶ月受け取り時期を繰り下げることで、将来の受給額が0.7%増加します。仮に年金の受給開始時期を70歳まで繰り下げることができれば、年金の受給額は19万8800円にまで増加します。なお、年金は最大75歳まで繰り下げることができます。この場合、14万円だった年金は25万7600円にまで増加します。
 
年金の繰り下げ中も働き、貯金もできれば、より安心して都内で生活を続けることができます。
 
他にも、資産の一部を投資信託などにして不労所得を得られるようにすることや、スキルを身に付けフリーランスや自営業者として、無理なくできるだけ長く働けるようにしておくことなども有効です。
 

年金生活を都内で送るなら工夫が必要

持ち家があり、かつ節制した生活を送れるという方でもない限り、基本的に月14万円の年金を頼りに都内で生活することは難しいでしょう。しかし、老後もできるだけ就労して貯蓄をしたり、年金を繰下げ受給したりするなど、工夫次第で都内で生活しつづけることができます。
 
老後の生活は早い段階で考えることで、より安定させることができます。このまま都内に住みつづけて大丈夫か悩んでいる方は一度老後の生活費と、そのとき受け取るであろう年金の額を基に、老後の生活について考えてみてください。
 

出典

総務省 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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