更新日: 2023.08.08 その他年金

70歳になる親、以前は年金に「特別支給」がありました。この制度はもうないのですか?

70歳になる親、以前は年金に「特別支給」がありました。この制度はもうないのですか?
自分や家族が老齢年金を受給している人のなかには、あるときまで受け取っていた「特別支給の老齢厚生年金」がいつの間にか支給されなくなったことを、疑問に感じている人もいるでしょう。特別支給の老齢厚生年金は生涯支給されるものではなく、また、誰でもが受け取れるものでもありません。
 
本記事では、特別支給の老齢厚生年金の制度概要や主旨、対象者などの基本的な情報を確認するとともに、受給中と支給が終了したあとの年金額の変化についても解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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特別支給の老齢厚生年金とは

特別支給の老齢厚生年金とは、老齢厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられたことにともなう経過措置として設けられた年金制度です。受給開始年齢を段階的に引き上げることを目的としており、次の要件に当てはまる人を対象としています。
 

●昭和36年4月1日以前生まれの男性および昭和41年4月1日以前生まれの女性
●老齢基礎年金の受給資格期間(保険料納付済期間、保険料免除期間などの合計)が10年以上ある
●厚生年金保険等の加入期間が1年以上ある
●生年月日に応じた受給開始年齢(図表1)に到達している

 
特別支給の老齢厚生年金には定額部分と報酬比例部分があり、受給開始年齢が原則として図表1のように定められています。
 
【図表1】
 

 
日本年金機構「特別支給の老齢厚生年金」より筆者作成
 

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特別支給の老齢厚生年金をもらえるのは65歳まで

特別支給の老齢厚生年金が受給できるのは、生年月日に応じた受給開始年齢から65歳になるまでの期間です。表題のように65歳を超えている人の場合、65歳になった時点で通常どおりの老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給に切り替わり、以後、特別支給の老齢厚生年金は受け取れません。
 
気を付けたいのは、「65歳を迎えるときには改めて老齢年金の請求手続きが必要となる」点です。誕生月の上旬に日本年金機構から送付される「年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)」を記入して、誕生月中に提出しなければなりません。手続きが遅れると年金の支給が一時的にストップするため注意しましょう。
        

特別支給の老齢厚生年金の受給者の年金額は65歳を過ぎるとどうなる?

特別支給の老齢厚生年金の受給者が65歳になったあとの老齢年金の受給額には、主に次の2つのパターンがあります。
 

●特別支給の老齢厚生年金の受給額と同様の金額が支給される
●特別支給の老齢厚生年金の年金額の計算に含まれていない国民年金などの加入期間を追加して再計算し、増額した金額が支給される

 
再計算の結果、特別支給の老齢厚生年金よりも年金額が増えることはありますが、減ることはありません。
 

特別支給の老齢厚生年金をもらえる人や期間は限られている

特別支給の老齢厚生年金は、老齢厚生年金の受給開始年齢の引き上げにともなう一時的な制度です。特定の期間に生まれた人を対象に、生年月日ごとに設定された受給開始年齢から65歳になるまでのあいだに限って支給されるものなので、あるときから支給されなくなっても制度がなくなったのではありません。
 
特別支給の老齢厚生年金の目的や仕組みを理解して、自分や家族が受け取っている年金の内容を改めて確認してみましょう。
 

出典

日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金

日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額

日本年金機構 Q 特別支給の老齢厚生年金を受け取っていましたが65歳になりました。どうすればいいですか。

日本年金機構 Q 特別支給の老齢厚生年金を受け取っていましたが65歳になりました。「年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)」を提出すると、受け取れる年金額は変わりますか。

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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