更新日: 2023.08.11 その他年金
年金受給額が「月1万円」ってありえるの?5万円以下の年金額の場合、「生活保護」も視野に入れるべき?
そこで、受け取れる年金が生活できないほど低額となる場合、どうするべきなのか考えていきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
年金が月5万円以下や、月1万円しか受け取れないということはあり得るのか
ごくごくわずかではありますが、現実に年金が月1万円しかもらえないという状況は起こり得ます。国民年金では、老齢基礎年金を満額受け取るのに480月保険料を納付することが必要ですし、老齢厚生年金の支給額は厚生年金の加入期間とその間の平均給与におおむね比例するからです。
それゆえ、国民年金保険料の納付期間が少ない場合、厚生年金に加入したことがない、あるいはほとんど加入してこなかったというような場合は、受け取れる年金額が月額1万円になるということも起こり得ます。
実際、厚生労働省の資料「無年金・低年金の状況等について」によれば、老齢基礎年金等(老齢基礎年金+旧国民年金老齢年金)の支給額について月額1万円未満となる方は受給権者全体の0.6%、1万円から2万円未満となっている方は1.6%存在しています。ごく少数ですが、年金が月1万円ということは起こり得ます。
なお、月額5万円未満の受給額となるのは受給権者全体の37.9%となっています。年金額が月5万円以下となる可能性は決して低くないようです。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
収入が年金のみの場合、年金の支給額が月5万円以下となると生活は厳しい
年金が5万円以下の状況では、よほど老後資産を準備していない限り、年金頼りでの生活はほぼ不可能でしょう。
図表1
出典:総務省 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
総務省の公表した令和4年の「家計調査」の結果では、単身世帯でも1月当たりの支出額は15万円を超えています。
図表2
出典:総務省 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
夫婦2人の世帯なら、支出額は26万円を超えています。既に老後が差し迫っており、受け取れる年金が月5万円以下になるであろう場合、まずは今後も働きつづけることを検討すべきでしょう。
働きながらでも年金は受け取れるため、年金やこれまで形成してきた老後資金だけでは生活できないという場合、可能な限り働くという選択をすることで、生活していくことが可能になります。
現在では定年の延長や再雇用で65歳まで働ける会社、65歳以降も働ける会社も出てきています。シルバー人材も浸透してきており、生涯現役で働ける環境は整いつつあり、老後も働きつづけることは難しいことではないでしょう。
生活保護は安易に視野に入れるべきではない
もし、働くことができない、あるいは年金を受けながら働いても生活ができないという場合は、親族からの支援を頼ることになります。それでもなお生活ができないという場合に、ようやく生活保護を利用できる可能性が出てきます。
生活保護は、自分の資産や能力などあらゆるものを活用しても最低限度の生活が維持できない方のための制度です。生活保護を必要とするかどうか厳正に審査されるため、簡単に受給することはできません。
仮に条件を満たしていない方が申し込みをしたとしても、働ける場合は就労するよう言われ、親族を頼れる場合はまずそちらを頼るよう指導されます。
安易に「生活保護を受ければいい」と最初から視野に入れて、楽観的に考えていると、後々自分が大変な思いをすることになるかもしれません。生活保護を視野に入れておくこと自体は悪いことではありませんが、容易に受給できるものではないことを理解し、アテにし過ぎないようにするべきでしょう。
まとめ
ごくごく少数な例ではありますが、現役時代は厚生年金に加入せず、国民年金がメインだったという方においては、現役時代の保険料納付状況によっては、年金受給額が月に1万円以下ということも起こり得ます。それどころか、月5万円以下ということも十分起こり得ます。
しかし、「支給される年金額が最低生活費以下だから」といっても、生活保護は簡単には受けられません。それを加味すると、最初から生活保護をアテにするべきではないでしょう。
生活保護を視野に入れつつも、就労や老後資金の形成など、まずは生活保護を受給せずとも生活していくことができるよう、準備を整えていくようにしてください。
出典
厚生労働省 無年金・低年金の状況等について
総務省 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
厚生労働省 生活保護制度の現状について
執筆者:柘植輝
行政書士