年金生活者支援給付金とは? 対象者にあてはまるか確認しておこう
配信日: 2023.08.12
受け取っている年金の種類に応じて、3つの年金生活者支援給付金があります。
■老齢基礎年金を受け取っている方・・・老齢年金生活者支援給付金
■障害者基礎年金を受け取っている方・・・障害年金生活者支援給付金
■遺族基礎年金を受け取っている方・・・遺族生活者支援給付金
本稿では老齢年金生活者支援給付金について見ていきます。
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
老齢年金生活者支援給付金とは
老齢基礎年金を受け取っている方で、以下のすべてを満たしている方が、老齢年金生活者支援給付金の対象です。
(1)65歳以上の老齢基礎年金の受給者である
(老齢基礎年金の繰上げ受給をしている65歳未満の方は対象外)
(2)同一世帯の全員が市町村民税非課税である
(3)前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が88万1200円以下である
(公的年金等の収入金額には障害年金や遺族年金等の非課税収入は含まれない)
なお(3)の合計額が78万1200円超88万1200円以下の方は、「補足的老齢年金生活者支援給付金」の対象となります。
■老齢年金生活者支援給付金の給付額
月額5140円(2023年度の額)を基準にして、以下の(1)と(2)の計算式を併せた金額になります。
(1)保険料納付済期間に基づく額(月額) =5140円×保険料納付済期間÷被保険者月数480月
(2)保険料免除期間に基づく額(月額)=1万1041円(※)× 保険料免除期間÷被保険者月数480月
※生年月日や免除の割合に応じて5504円~1万1041円になります。
また、先述の「補足的老齢年金生活者支援給付金」の額は以下のとおりです。
給付基準額(月5140円) × (保険料納付済期間÷ 被保険者月数480月) × [調整支給率]
支給調整率の計算式は図表1のとおりです。
【図表1】
■支給が停まることも
先述のとおり、公的年金の受給額とその他の所得の額の合計額によって年金生活者支援給付金の対象になるか否かが決まります。その判断は市町村から提供を受ける所得情報等によりなされます。対象になった方は申請が必要ですが、2年目以後の手続きは不要です。
もし、対象外になった場合には「年金生活者支援給付金不該当通知書」が送られてきます。
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年金生活者支援給付金と公的年金と同じ点、異なる点
年金生活者支援給付金は、国からの年金(公的年金)と同じタイミングで振り込まれます。例えば、8月15日に振り込まれる年金生活者支援給付金は6月分と7月分です。
また、年金生活者支援給付金をもらっている方が亡くなった場合には、公的年金と同じく未支給年金の対象になります。
公的年金のうち、老齢基礎年金や老齢厚生年金は雑所得で課税対象ですが、年金生活者支援給付金は非課税所得です。つまり、年金生活者支援給付金の受け取りにより、課税所得が増えたり、国民年金保険料や介護保険料、後期高齢者医療保険料が増額したりすることはありません。
以上のことに十分留意しましょう。
出典
厚生労働省 年金生活者支援給付金制度について
日本年金機構 老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要
日本年金機構 年金生活者支援給付金のみの源泉徴収票は送付されるのでしょうか。
日本年金機構 年金生活者支援給付金の概要
日本年金機構 年金生活者支援給付金を受給している方が亡くなったとき
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役