母が「年金額は月々13万円で足りる」と言っていますが、老後資金にしては少ないですよね?

配信日: 2023.08.21

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母が「年金額は月々13万円で足りる」と言っていますが、老後資金にしては少ないですよね?
先日とある方から、自身の母親の年金額について相談を受けました。彼女に支給されるであろう年金額は月々13万円です。相談者は「13万円で足りる」と言い張る母親の老後について、気が気でないようです。
 
そこで、月々13万円の年金を老後資金の柱にして生活ができるのか考えます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

13万円という年金額は平均と比べてやや少ない

厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、令和3年度末における厚生年金保険(第1号)の老齢給付の受給者の平均年金月額は、およそ14万6000円でした(併給する老齢基礎年金の額を含む)。
 
それと比べると、月々13万円という年金額はやや少なめだといえます。国民年金受給者における老齢年金の平均月額およそ5万6000円に比べると大きな金額ではありますが、決して十分な額とは言い切れない面もあります。
 
実際、65歳以上の単身無職世帯における1ヶ月の支出額は、15万5495円となっています。
 
図表1
 

 
出典:総務省 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
 
これらを総合的に鑑みると、月々13万円の年金だけが老後資金であったとすると、やや不安が残るといえるでしょう。
 

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月13万円での生活も不可能ではない?

統計データだけを見ると、老後に月々13万円の年金だけを受給して生活することには、やや不安が残ります。
 
とはいえ、生活が不可能というわけではありません。地域やライフスタイルにもよりますが、「お金をあまり使わず、月の生活費が10万円程度」というような場合は、月々13万円の年金を老後資金として生活していける可能性が高いでしょう。
 
また、貯金が十分にある場合や、一定の不労所得が期待できる場合は、13万円の年金で十分足りることもあります。例えば、月15万円の支出が必要という方が、90歳まで将来生きるであろうと仮定します。
 
この場合、不足額は毎月2万円です。不足額が2万円程度ならば、月々13万円の年金の他に、貯金が2000万円以上あったり、投資信託など金融商品からの配当が毎月3万円以上得られたりするような場合、老後に不足するお金をまかなえるでしょう。
 
確かに年金額が月々13万円というと心細く感じる額ですが、他の収入や貯金などの老後資金全般を含めて考えると、本人の言うとおり「足りる」といえる年金額となっていることもあります。
 

月々13万円の年金で足りないことが発覚した場合は?

月々13万円のお金で足りると本人が言っていたものの、老後の生活について想定してみると、もっと多くのお金が必要だということが発覚、かといって老後資金はほかにまとまったものがない、というときも焦る必要はありません。
 
年金には、繰下げ受給という制度があります。繰下げ受給は、65歳以降75歳までの間で年金の受給開始時期を遅らせることで、1月当たり0.7%増額された年金を受け取れる制度です。
 
仮に65歳から70歳までの5年間、受給開始時期を遅らせると、42%増額された年金を受け取れます。つまり、月々13万円の年金が18万4600円にまで増額されるということになります。
 
その間はパートなど何らかの手段で就労できれば、年金を繰り下げている間も、年金に頼らず生活を維持できます。そう多くはありませんが、近年は高齢者を正社員として受け入れている会社も出てきています。
 
正社員ではなくとも、パートやシルバー人材として積極的に高齢者を受け入れている会社もあり、就労することは十分現実的な方法になるでしょう。
 

老後資金は年金額だけではなく総合的に考えることが大切

年金額だけで考えてみると、月々13万円という金額は、やや老後資金としては少ない金額であると考えられます。とはいえ、ライフスタイルや他の老後資金の準備次第では、月々13万円の年金で十分事足りるという可能性もあります。
 
老後資金は年金の支給額だけで判断せず、貯金など他の資産についても考慮した上で、考えていくことが大切でしょう。そうすることで、年金額が月々13万円でも老後の生活を送っていける可能性もあります。
 

出典

厚生労働省 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況

総務省 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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