更新日: 2023.08.25 その他年金
年金を月23万円受け取りたい。受給額を増やすために今からでもできる方法って?
受け取れる年金の額(年金受給額)を増やすことは可能です。本記事では、年金受給額を増やすために、今からできる方法について解説します。
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
繰下げ受給を検討する
国民年金(老齢基礎年金)も厚生年金保険(老齢厚生年金)も、原則として、65歳から受け取れます。しかし、希望すれば、60歳から65歳になるまでの間に受け取ることができたり(繰上げ受給)、66歳から75歳までの間に受け取ることができたり(繰下げ受給)します。
繰上げ受給をした場合は、繰上げ受給の請求をした時点に応じて年金が減額され、その減額率が一生続きます。反対に、繰下げ受給をした場合は、繰下げ受給の請求をした時点に応じて年金が増額され、その増額率が一生続きます。
繰下げ受給をした場合の年金の増額率は、表1のとおりです。
【表1】
(日本年金機構 「年金の繰下げ受給」)
例えば、65歳時点で年金受給額が16万円だとします。これを、繰下げ受給をして、70歳で受け取ることにしたとします。この場合の増加率は42.0%です。すると、年金受給額は22万7200円となります。
繰下げ受給を検討する際の注意点としては、年金を受け取らない間の家計をどうするかということです。一般に、会社員の定年は、60~65歳です。それ以降は、再雇用などで働き続けることもできますが、ご自身の健康状態や経済状態も考慮し、むりのないように計画を立てる必要があります。
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個人型確定拠出年金(iDeCo・イデコ)に加入する
年金には、公的年金と私的年金があります。先述の国民年金や厚生年金保険は公的年金です。年金受給額を増やすためには、私的年金の活用も検討してみましょう。
私的年金の代表的なものに、「個人型確定拠出年金(iDeCo・イデコ)」があります。iDeCoは、ご自身で掛け金を拠出、運用をし、資産を形成していくというものです。令和5年8月時点においては、ほぼ全ての20歳以上60歳未満(国民年金の第2号被保険者や任意加入被保険者は65歳未満)の方がiDeCoに加入することができます。
iDeCoに加入する際の注意点としては、以下のようなことが挙げられます。
・原則として、60歳まで資産を引き出すことができない
・60歳から資産を受け取るためには、加入期間が10年以上必要
・加入できない場合もある
・拠出限度額がある
・受け取れる資産額は、運用成績によって異なる
私的年金とはいえ、iDeCoはあくまでも資産運用です。拠出金額、運用期間、運用商品により運用成績は異なります。また、iDeCoの運用商品は、「元本確保型」のものもありますが、元本を下回る可能性のあるものもあります。運用商品をよくご理解の上、運用されることをおすすめします。
まとめ
年金は、老後の資金として重要な役割を担っています。このため、資金をリスクにさらすことは、極力、避けたいものです。
本記事では、年金受給額を増やすために今からできる方法として、繰下げ受給を検討することと、個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入することを取り上げ、解説しました。
繰下げ受給をすると、繰下げ受給の請求をした時点に応じて年金が増額され、その増額率が一生続きます。その反面、年金を受け取らない間、どのように家計をやりくりするかが課題となります。
iDeCoに加入すると、運用成績に応じて、お金を受け取ることができます。しかし、あくまで資産運用であり、「元本確保型」の運用商品もありますが、投資信託などで運用をした場合には、元本を下回る可能性もあります。
年金受給額が増えるという良い面だけでなく、それに伴う注意すべき点にも目を向け、資金計画を立てていただくことが重要です。
出典
日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 年金の繰下げ受給
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト iDeCo(イデコ)の特徴
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト iDeCo(イデコ)の仕組み
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー