更新日: 2023.08.28 その他年金

【セカンドライフ】確定拠出年金のもらい方はどうするのがお得?~後編~

【セカンドライフ】確定拠出年金のもらい方はどうするのがお得?~後編~
60歳で退職金を受け取ったとき、確定拠出年金はどうするのか、そのもらい方を悩む人は多いです。老後のマネープランの基軸となる資金です。自分に合ったもらい方を探ります。
宮﨑真紀子

執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

どのような商品で運用しているか?

企業型の確定拠出年金は、基本的には会社が資金を拠出して加入者(従業員)が運用商品を決めて運用する仕組みです。運営管理機関(金融機関)が選定・提示する運用商品(投資信託・保険商品・預貯金等)のなかから加入者自身が選びますので、自分のリスク許容などによって選ぶ商品の組み合わせはさまざまです。
 
仮に同期入社で同じ拠出金額、同じ期間運用であっても、内容が違っていたら受取金額は変わります。運用期間が長くなれば、60歳時点の残高が大きく違っていることは容易に考えられます。
 
いつ、どのように(一時金または年金)受け取るかを考えるうえでは、自身が選んだ商品の組み合わせを確認することも、とても大切です。「いつ受け取るか?」は、60歳で受け取る必要はありません。運用状況によっては、「今売却する時期ではない」というケースもあります。
 
60歳以降も受け取るまでは運用されますので、国内外の株式で運用される投資信託など値動きが比較的大きい商品が含まれている場合は、受取時期をずらすことで資産を増やすことも可能です。
 
特に一時金で受け取る場合は、考慮が必要です。コツコツ積立時に時間を分散したように、“年金方式で受け取ることで時間分散する”という考え方もあると思います。ただし、公的年金のように、「受給開始を遅くすることで必ず受取金額が増える」ということではないので、ご注意ください。
 

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ライフプランの、どの時点で活用するか

「いつ、どのように受け取るのがお得か?」を考えるうえでの3つ目のポイントですが、これが実はもっとも重要かもしれません。それは、ライフプラン上で、単純に「いつ必要か?」「どのように使うか?」を考えることです。
 
「来年リフォームを考えているので、その資金に充てたい」という場合は、使う時期に一時金として受け取ることになります。定年延長で働いていても、給料が下がる場合も多いです。“教育費が掛からなくなったので問題ない”“補てんが必要なので確定拠出年金を年金で受け取る”など、個人のライフスタイルなどによって、資金計画があるはずです。
 
「まだ現役で働いているし、しばく使う予定はない」という場合は、受け取らずに65歳など次の節目までそのまま運用を続けることも一案です。その時点で、一時金または年金で受け取ることを再考します。使い道(“ほしいモノ”や“やりたいコト”)を考える時間をとることは、“シニアライフをどう過ごすのか”を考える機会にもつながります。
 
またこれをうまく活用して、公的年金の受給を繰下げて受給するのも選択肢となります。公的年金は、受給時期を繰下げることで、確実に受給金額を増やすことができます。1ヶ月繰下げると0.7%の増額で、70歳で142%、 75歳で184%の受給率となります。一生変わらず受給できるので、お金を増やす堅実な方法といえます。
 
65歳以降も、長く働く人が増えています。働き方も多様化していますので、その時々にライフプランの変更もあるはずです。収入と支出のバランスを整えて、老後はお金の心配無用で暮らせるのが理想です。せっかく時間にゆとりができたのだから、時にはぜいたくもしたいと思うのが人情です。貴重な老後資金なので、使い方は慎重に考えたいです。
 
このように「どちらがお得か問題」は、決まった答えを出すのが難しい、なかなかの難問でしょう。
 

出典

厚生労働省 確定拠出年金制度の概要
日本年金機構 年金の繰下げ受給
 
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

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