更新日: 2019.01.10 その他年金
旦那が『老後資金の柱はあくまでも公的年金だよ』と言うのですが、年金の知識があまりないです・・今すぐ再確認しましょう!
まだまだ、年金への不信は払しょくされていないと感じます。老後資金の柱はあくまでも公的年金であることに変わりありません。今回は、年金を再確認するためのお話をします。
Text:當舎緑(とうしゃ みどり)
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。
阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
5年遡って納付できる特例措置の終了はすぐ
国民年金の保険料は、1か月16,340円(平成30年度)です。一括でまとまった金額を支払う前納の制度などを用いれば、いくらか安くなるものの、負担に思う人がほとんどです。
年金の保険料を全く未納も免除もせず、1か月の空白もなく納付している方は多くないでしょう。学生であれば、学生納付特例を申請したり、失業中は免除を申請したりと、ちゃんと年金事務所に届出をして、免除や納付特例の申請をしていれば、10年以内に追納(追加で納付)することが可能ですが、単に支払い忘れであれば、通常は2年しか遡って支払うことはできません。
その2年を5年遡ることができる特例の制度が、今年の9月末で終了します。厚生労働省が発表している保険料納付率のデータでは、依然、3割程度の人が未納の状態です。いざ年金を受け取る時に、「払えるときに、もっとちゃんと納めておけばよかった」「もう少し年金額を増やす方法はないの?」という方もいらっしゃいます。
しかし、受取が目前になると使える制度は非常に限られます。年金受け取りがまだ先の方にこそ、これを機会に、後納を検討していただきたいと思います。
(出所:厚生労働省「保険料を納めるべき納付対象者の状況」平成30年5月)
●平成27年5月分保険料の納付率(3年経過納付率)は、72.5% (対前年同期増減幅+1.0%)
●平成28年5月分保険料の納付率(2年経過納付率)は、72.7% (対前年同期増減幅+4.2%)
●平成29年5月分保険料の納付率(1年経過納付率)は、70.4%
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公的年金を充実させることが老後生活のキホン
老後の収入の柱は公的年金であるということは何度でも申し上げたいと思います。確定拠出年金制度の改正や積み立てNISAの始まりもあり、公的年金にプラスアルファの自分年金を検討する必要は今後もあります。
ただ、公的年金を充実させずに、その他の商品を検討するのはお勧めできません。まずは公的年金の充実を考えましょう。
昨年の法改正で、老齢年金が10年で受け取れるようになったことから「じゃあ10年分だけ保険料を支払ったらよいの?」というご質問を受けることもありますが、10年分の老齢年金を受け取っている方が亡くなった場合には、遺族が遺族年金を受け取れないケースがあるのをご存知でしょうか。
遺族厚生年金の受給できる要件のひとつに、「老齢年金(受給資格期間が25年以上の者に限る)が死亡した時」があり、公的年金は、老後、障害、遺族のいずれのリスクにも対応できることを考えれば、少しでも保険料を納付し、年金額を充実する方法を考えるのが安心な老後準備への入り口です。
公的年金を増やすには
国民年金は、原則として20歳から60歳までの40年間加入して、779,300円(平成30年度)が上限ですが、上限の40年に足りないのであれば、60歳以降に任意加入する、あわせて付加年金の加入を検討するなど、少しだけでも年金の増額を検討してみましょう。
1か月分納付すると、老齢基礎年金は約1624円(平成30年度の金額)増額しますし、付加年金は保険料を400円払えば、年金額は200円×納付月数ですので、2年納付することで、元が取れます。微々たる額かもしれませんが、老後、働くこともままならない中での年金がいかにありがたいのかはよくお聞きします。
もし、65歳以降に健康状態がよく、働ける状況であれば、0.7%(1か月あたり)増額する繰り下げも検討できるでしょう。最大5年繰り下げすると42%増額します。昨今の預金の利子を考えれば、この増額がいかに大きいかがわかるでしょう。
外貨型の貯蓄型保険や仮想通貨などで、他人が大儲けをしている話を聞くと、おいしい話に目がいってしまう気持ちもわかります。ただ、おいしい話のリスクが0であることは絶対ありえません。
今回はもうすぐ終了する年金の後納制度をご紹介しましたが、公的保険の場合、申請できる期間は限られるものの、特例というものは意外に存在します。まず、足元から利用できる公的な制度を利用したうえで、プラスアルファの制度を検討するべきでしょう。
Text:當舎 緑(とうしゃ みどり)
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)