「独身男性」は繰上げ受給をした方がいいって聞いたけど、本当?
配信日: 2023.09.13 更新日: 2023.09.15
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
年金の繰上げ受給と繰下げ受給
まずは、繰上げ受給と繰下げ受給について、簡単に確認していきましょう。年金は原則65歳から受給するものですが、60歳から75歳までの間は希望に応じて、1ヶ月単位で自由に受給開始時期を変更させることができます。
このうち、65歳よりも早く年金を受給することを「繰上げ受給」といいます。1ヶ月繰り上げるごとに、年金額は0.4%減額されます。反対に、65歳よりも遅く受給することを繰下げ受給といいます。1ヶ月繰り下げるごとに、年金額は0.7%増額されます。
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早期に亡くなるリスクがあるなら繰上げ受給をした方がよい
インターネット上には「独身男性は平均寿命が短いから、年金は早く受け取るべき」といった声が散見されています。中には「各種統計から推測すると、独身男性は67歳程度が平均寿命である」と報道しているニュースサイトも見受けられます。
厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、国民年金平均受給額は令和3年度末で月額5万6479円となっています。
例えば、65歳から毎月この額の年金を受給するとして、67歳で亡くなるとすると、受給できる年金の総額はわずか135万5496円です。それに対して、60歳から受け取るために繰上げ受給をすると、24%減額(0.4%×12ヶ月×5年)された月の年金受給額は4万2924円となりますが、7年間受け取れるため総受給額は360万5616円となります。
このように、毎月の受給額を減額される代わりに受給年数が延びてカバーできるため、早期に亡くなることが前提であれば繰上げ受給をした方が、結果的に受給できる年金の総額は多くなります。
独身男性だからと、繰上げ受給をした方がよいとは限らない
ここまで確認したところで、「自分は独身だから、年金は減額覚悟で60歳から受給しよう」と考えるのは早計です。独身男性はみんな、67歳など早くに亡くなってしまうとは限らないからです。
厚生労働省の「令和3年簡易生命表」によれば、男性の平均寿命は81.47年となっています。仮に81歳まで生きられるとした場合、最も多く年金を受給できるのは67歳から受給を開始していた場合で、総受給額は1108万2535円です。一方、81歳まで生きられた方でも、60歳から年金を受給してしまっていた場合、総受給額は1081万6858円と100万円程度少なくなってしまいます。
そもそも人は、独身であるかどうかによって寿命が変わる生き物ではありません。そのため、独身であっても健康的な生活をしているような方が、平均寿命と同等以上に生きられる可能性は、十分あると考えられます。
まとめ
年金の総受給額は受給開始時期によって変化するため、できるだけ多く年金を受給したい場合、自分が何歳まで生きる可能性があるかを加味して受給開始時期を選ぶ必要があります。
「独身男性は早くに亡くなるため、減額覚悟で年金は早めに受給した方がよい」といわれることもありますが、これが全ての独身男性に当てはまるわけではありません。
今、独身の男性で「自分も将来は早くに年金の受給を開始すべきか」と悩んでいる方は、健康状態や生活リズムなどを加味し、平均寿命も踏まえて、自分が何歳まで生きられそうか想定し、それを元に受給開始時期を考えていくことをおすすめします。
出典
厚生労働省 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
厚生労働省 主な年齢の平均余命
日本年金機構 年金の繰上げ・繰下げ受給
執筆者:柘植輝
行政書士