更新日: 2023.09.13 その他年金

長年支払う年金保険料。65歳から受け取ると、何年受給すれば元を取れますか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

長年支払う年金保険料。65歳から受け取ると、何年受給すれば元を取れますか?
国民年金(老齢基礎年金)について、支払った保険料の元が取れるまでの期間は何年でしょうか。元が取れる年数を知っておくと、年金保険料の支払いの合理性を高める一方で、受給開始時期の判断にも役立ちます。
 
本記事では、年金を65歳から受け取るケースにおいて、支払った保険料を回収できる期間について詳しく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

年金を65歳で受け取る場合、約10年で元が取れる可能性がある

日本年金機構によると、国民年金の満額受給額は月に6万6250円、年間で79万5000円です。国民年金の保険料は、1ヶ月あたり1万6520円です。※いずれも令和5年度分
 
国民年金の受給額の計算方法は、以下のとおりです。
 
・79万5000円×(保険料納付済月数÷480ヶ月)
 
例えば、保険料を納めた期間が40年(480ヶ月)の場合、支払った保険料の合計は792万9600円になります。65歳からの年金受給額が年間79万5000円であると仮定すると、10年間の受給額は795万円となり、納めた保険料の合計を上回ります。
 
また、保険料免除や納付猶予の期間がある場合、該当期間の年金額の計算式は以下のとおりです。

・全額免除:全額免除月数×1/2
・4分の3免除:4分の3免除月数×5/8
・半額免除:半額免除月数×6/8
・4分の1免除:4分の1免除月数×7/8

※ここでは、仮に40年間にわたり令和5年度の年金保険料を支払った場合、令和5年度の年金額と同じ年金受給額が将来も維持されるという仮定を用いています。
※実際とは異なる場合があります。
 

60歳から繰上げ受給する場合、約13年で元が取れる可能性がある

繰上げ受給とは、年金の受給開始時期を前倒しできる制度です。通常、年金は65歳から受け取れますが、繰上げ受給を選ぶことで60歳から65歳の間でも受け取れます。ただし、繰上げ受給を選んだ場合、繰上げ1ヶ月あたり0.4%の年金額が減ることになります(最大24%)。
 
例えば、60歳から繰上げ受給した場合の年金額は60万4200円[計算式:79万5000円-(79万5000円×24%)]です。支払った保険料の合計は792万9600円となりますので、元が取れる時期は13年2ヶ月目(計算式:792万9600円÷60万4200円=13.124)となります。
 
したがって、73歳2ヶ月(計算式:60歳+13年2ヶ月)で元が取れる計算です。
 
※ここでは、仮に40年間にわたり令和5年度の年金保険料を支払った場合、令和5年度の年金額と同じ年金受給額が将来も維持されるという仮定を用いています。
※実際とは異なる場合があります。
 

年金受給額を増やす方法

年金受給額を増やす方法には、繰下げ受給や付加年金、任意加入、国民年金基金などがあります。これらの方法を実践することで、将来の年金受給額を増加させることが可能です。
 
本項では、年金受給額を増やす方法について紹介します。将来の年金受給額に不安を感じる場合は、適切な方法を選んで年金受給額を増やすことを検討してみましょう。
 

繰下げ受給

年金の受給開始年齢は65歳ですが、受給開始時期を66歳から75歳までの範囲で後ろ倒しする制度を繰下げ受給といいます。この制度により、受給を1ヶ月遅らせるごとに年金額が0.7%(最大で84%)増加します。
 
経済的に余裕があるなどで、将来的に年金を受け取る時期を後ろ倒しすることに問題のない方は、繰下げ受給を利用することで年金額を増やせます。
 

任意加入

任意加入とは、20歳から60歳までの年金保険料納付月数が480ヶ月未満の場合に、60歳から65歳までの間に保険料を納付することで、年金額を増やせる制度です(厚生年金保険、共済組合等加入者を除く)。60歳からの任意加入によって、年金保険料の納付月数が増加し、年金額が満額に近づきます。
 

付加年金

自営業やフリーランスなどの国民年金第1号被保険者や、国民年金に任意加入している人は、年金保険料にプラスして月額400円の付加保険料を納付すると、将来、付加年金を受け取ることができます。
 
付加年金額の計算方法は「200円×付加保険料納付月数」です。例えば、10年間付加保険料(400円×120ヶ月=4万8000円)を納付した場合は、年間2万4000円の付加年金を受け取ることができます。つまり、支払った付加保険料は、2年で元を取れる計算です。
 

国民年金基金

国民年金基金は、国民年金第1号被保険者の年金受給額を増やすための公的な年金制度です。
 
この制度では、掛金に応じて年金額が設定され、支払った掛金は全額社会保険料控除の対象となります。さらに、年金を受け取る際には、公的年金等控除の対象となります。節税しながら将来の老後資金を準備することが可能です。
 

自身の年金受給額で計算してみよう

将来の年金保険料や年金額の状況によりますが、国民年金を65歳で受け取るケースでは約10年、60歳から繰上げ受給する場合は約13年で、支払った保険料の元が取れる可能性があります。
 
将来の年金受給額に不安を感じている方は、繰下げ受給や付加年金、任意加入、国民年金基金などの手段を検討して、年金額を増やすことを考えてみましょう。計画を早い段階から立てて実行することで、年金額を効果的に増やすことが可能です。
 
まずは、自身の年金受給額をもとにして、支払った保険料が元を取るまでの期間や具体的な老後資金を計算してみましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

ライターさん募集