更新日: 2023.09.20 国民年金

国民年金の加入・納付状況 未納者の割合は全体の約1%!?

執筆者 : 高橋庸夫

国民年金の加入・納付状況 未納者の割合は全体の約1%!?
毎年、厚生労働省が取りまとめる「国民年金の加入・保険料納付状況」について、令和4年度版が令和5年6月26日に公表されています。それによると、国民年金第1号被保険者の最終納付率は、日本年金機構発足後初めて、80%超が達成されたとのことです。
 
この記事では、公表内容に基づき、現状での国民年金の加入や納付の状況について確認して見たいと思います。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

最終納付率の推移

まず、第1号被保険者の令和4年度の最終納付率とは、令和2年度分(令和2年4月分から令和3年3月分)の保険料納付対象月数のうち、令和5年4月末までに納付された月数の割合と定義されます。
 
この数値は、日本年金機構が発足した平成22年度分(平成22年1月に発足)については64.5%だったところ、令和4年度には16.2ポイント上昇の80.7%を達成しています。さらに、この数値は基本的に平成22年度分から10年連続で上昇を続けています。
 

都道府県別の最終納付率の状況

令和4年度の最終納付率が高かった上位3県は、島根県(90.78%)、新潟県(89.95%)、富山県(89.38%)となっており、反対の下位は、大阪府(74.72%)、沖縄県(76.28%)、東京都(77.01%)となっています。ただし、全ての都道府県で令和3年度と比較して上昇しており、最も上昇率が高かったのが沖縄県で、6.73%上昇となっています。
 

強制徴収の実施強化

令和4年度の国民年金保険料の納付率改善のための対策には、強制徴収の実施強化や納めやすい環境づくり、免除等の奨励などの取り組みがあるようです。
 
強制徴収の実施強化には、所得控除後の所得300万円以上、かつ、7月以降に保険料を滞納している方を対象として、最終催告状を18万9009件(令和3年度は2117件)、督促状を13万3476件(令和3年度は15件)、財産差押を1万2784件(令和3年度は46件)実施され、これまでにない大幅な強化が図られています。
 
さらに、納付督励の実施強化として、文書や戸別訪問の件数拡大や外部委託の推進などが進められています。また、上昇率1位の沖縄県では、県内市町村や年金事務所と連携した納付勧奨等の取組がプロジェクトとして実施されています。
 

納付方法別の利用状況

保険料の納付方法については、直近では令和5年2月からスマートフォン決済アプリ納付が開始され、令和4年分で5.2万件が利用されています。主な納付方法による利用件数はそれぞれ、コンビニ納付で1532万件、クレジットカード納付で328万件、インターネット納付で295万件などとなっています。
 
また、平成29年4月から始まった「現金およびクレジットカードでの2年前納制度」による割引も利用件数を伸ばしており、17万件が利用されています。さらに、口座振替を273万人が利用し、口座振替率は34%となっています。
 

令和4年度の未納者の割合は全体のわずか1%

未納者の定義は、第1号被保険者で24ヶ月(令和3年4月~令和5年3月)の保険料が未納となっている者とされます。第1号被保険者のうち、未納者は89万人で公的年金加入対象者の約1%となっています。
 
図表
 
図表
 
厚生労働省「令和4年度の国民年金の加入・保険料納付状況」より筆者作成
 
第1号被保険者には、任意加入被保険者20万人が含まれています。任意加入被保険者を除く第1号被保険者に占める全額免除・猶予割合(法定免除・申請全額免除、学生特例、納付猶予の合計607万人)は、43.8%となっています。都道府県別の場合、上位3県は、沖縄県で64.4%、鹿児島県で53.3%、大分県で52.1%であり、この割合は九州地方で高い傾向があります。
 

まとめ

公的年金加入者のうち、会社員や公務員などの第2号被保険者(4628万人)と第3号被保険者(721万人)は、全体の約79.2%を占めています。残りの第1号被保険者(1405万人)のうち、89万人が未納者ということになります。全体に占める未納者の割合は約1%ですが、これは、全額免除や納付猶予の人を除いた割合となります。
 
また前述のとおり、全国平均で43.8%の人が全額免除や納付猶予の制度を利用しています。もし、保険料の納付が厳しいような場合には、これらの制度を利用することができないかを確認することも重要と思われます。
 

出典

厚生労働省 国民年金の加入・保険料納付状況

 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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