大学生でアルバイト代が月5万〜15万円です。国民年金の「学生納付特例」の対象ではなくなりますか?

配信日: 2023.09.26

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大学生でアルバイト代が月5万〜15万円です。国民年金の「学生納付特例」の対象ではなくなりますか?
日本の年金制度は、国民年金と厚生年金の2階建てです。その中でも、国民年金は20歳以上の国民に加入が義務付けられているので、学生であっても国民年金の加入が必須です。しかし、基本的に学生は収入がなく、あってもアルバイトによる収入のみで、あまり経済的な余裕はないため保険料を納めるのは厳しいという人は多いでしょう。
 
その救済として、国民年金には「学生納付特例」制度があります。本記事では、学生特例制度の詳しい内容について解説しているので、対象となる学生は参考にしてください。
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国民年金

国民年金はなぜ収入のない学生も加入の対象にしているのでしょうか。これは年金制度の根本となる考え方が、世代間の助け合いにあるからです。そのため、年金保険料は積み立てではなく、若い世代の保険料が高齢者の年金に当てられています。また、学生でも障害を負う可能性があり、障害者基礎年金の対象とするために学生にも加入を義務付けているのです。
 

国民年金とは

日本の年金制度は大きく2つの年金制度によって成り立っています。ひとつは国民年金、もうひとつは厚生年金とよばれる年金です。
 
国民年金は基礎年金ともよばれることもあり、日本の年金制度の基礎となっています。国民年金は国民のほぼ全員に加入義務があります。対して厚生年金は個人ではなく事業所単位で適用されます。厚生年金は事業所が手続きや年金保険料の納付をしますが、国民年金はすべて自分で手続きする必要があります。
 

国民年金の加入条件

国民年金加入の対象者は、「日本国内に居住している20歳以上60歳未満」と定められていて、収入の有無や国籍を問わず加入義務があります。
 
年金の被保険者は、以下の3種類に分けられます。

●第1号被保険者:自営業者、農業や漁業に従事している人、学生など
●第2号被保険者:給与所得者、公務員など厚生年金保険や共済組合の加入者など
●第3号被保険者:第2号被保険者の配偶者

第1号被保険者は国民年金だけに加入している被保険者で、直接年金保険料を納めます。第2号被保険者の保険料は給与から相殺され、事業所が事業者負担分とともに納めます。第3号被保険者は国民年金に加入していますが保険料の納付は不要で、代わりに事業者が保険料を負担します。
 

学生納付特例制度とは

学生に関しては収入がないケースが大半なので、保険料の納付には特例が設けられています。「学生納付特例制度」は、収入がないあるいは収入が少ない学生の納付を猶予する制度です。申請することで学生期間中の納付が猶予され、卒業後や学生でなくなったときから納付を開始します。
 
学生納付特例の概要は、図表1のとおりです。
 
【図表1】

対象者 申請年度の前年所得が以下の学生
・所得基準(申請者本人のみ):128万円(令和2年度以前は118万円)+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
・対象の学生:大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校および各種学校(私立は都道府県知事の認可が必要)、一部の海外大学の日本分校(文部科学大臣が個別に指定した課程)に在学し定時制課程や通信課程の方
申請先 ・住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口
・近くの年金事務所
・在学中の学校等
申請書類 ・学生納付特例申請書(学生証(写)、在学証明書(原本)、基礎年金番号通知書のコピーまたは年金手帳のコピー等を添付)
その他 ・4月から翌年3月まで(申請日が1月から3月までの場合は、前年4月から3月まで)の期間を対象として審査
・保険料納付期限から2年を経過していない(申請時点から2年1ヶ月前まで)の期間についても、さかのぼって申請可能

日本年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」より筆者作成
 

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学生納付特例を受けられないケース

学生納付特例を受けられる学生は幅広い対象が設定されていますが、中には対象外となる場合もあります。対象となる学校の学生ではない、所得額が一定基準を上回る場合などは特例の対象外となりますので注意してください。
 
これから申請しようと考えている学生の方は、自分が対象になるのかをまず確認しましょう。以下で、具体的にどのようなケースが対象外になるのかを解説します。
 

対象となる学校の学生

学生納付特例の対象となるのは、義務教育を終えたほとんどの学生です。20歳以上の学生がいる可能性が高い定時制や通信課程も含まれるので、高等学校も対象です。ただし、私立の各種学校には「都道府県知事の認可を受けた学校」という条件があるので、直接学校に確認するか、日本年金機構ホームページに特例対象校一覧がありますので確認しておきましょう。
 

所得金額が128万円を超える場合

学生納付特例の対象になる学生は、所得制限をクリアする必要があります。基準となる所得額は以下のとおりです。
 
・128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
 
原則として、128万円以下であれば対象となりますが、扶養家族がいる場合や社会保険料の控除がある場合は128万円以上でも認められる可能性があります。なお、この所得は申請する学生本人の所得であり、同じ世帯でも家族の所得は考慮されません。また、所得は収入金額から給与所得控除額を差し引いた金額で、手取り金額とも違うので注意しましょう。
 

所得128万円は収入金額でいくらになる?

学生の場合はアルバイトによる収入が多いと思われるので、アルバイト代が月5〜15万円の場合を想定して、所得がいくらになるのか試算してみましょう。
 
参考までに、収入が5万、10万、15万円の場合の所得は図表2のとおりになります。
 
【図表2】

収入金額※ 年間所得額
月5万円
(年60万円)
60万円-55万円(給与所得控除)=5万円
月10万円
(年120万円)
120万円-55万円(給与所得控除)=65万円
月15万円
(年180万円)
180万円-{180万円 × 40%-10万円(給与所得控除)}=118万円

※ 源泉徴収票、給与明細表の支払金額
国税庁「No.1410 給与所得控除」より筆者作成
 
図表2のとおり、月15万円の収入でも所得180万円には達しないので、目安として覚えておいてもよいでしょう。
 
なお、給与収入が180万円を超えると、給与所得税控除の計算式も変わります。所得が180万円を超える収入の目安は以下のとおりです。
 
269万円-{269万円 × 30%+8万円(給与所得控除)}=180万3000円
 
年収269万円に近い人は、源泉徴収票などで所得額を確認しておきましょう。
 

学生で年金保険料の納付が厳しい人は学生納付特例の利用を検討しよう

国民年金は収入に関わらず、20歳以上であれば加入義務があります。しかし、収入がない、あるいは少ない学生については学生納付特例によって在学中の納付を延期できます。
 
所得による制限はありますが、月5〜15万円程度のアルバイト収入であれば十分に条件をクリアできます。対象となる学生の範囲も広いため、納付する余裕のない学生は学生納付特例の利用を積極的に検討しましょう。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
厚生労働省 いっしょに検証! 公的年金 ~年金の仕組みと将来~ 第04話 日本の公的年金は「2階建て」
日本年金機構 学生納付特例対象校一覧
国税庁 No.1410 給与所得控除
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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