更新日: 2023.09.28 その他年金

夫婦で「月25万円」の年金がほしい! それぞれ年収いくらで働けば良い?「共働き」「片働き」のケースで試算

執筆者 : 齋藤彩

夫婦で「月25万円」の年金がほしい! それぞれ年収いくらで働けば良い?「共働き」「片働き」のケースで試算
リタイア後の生活費に年金を期待している人も多いでしょう。公的年金は2階建て構造になっており、国民年金と厚生年金があります。国民年金は納付した保険料に応じて一定金額を受給できますが、厚生年金は年収により受給額が異なります。

本記事では公的年金の概要と、リタイア後に夫婦で年金を月25万円受給したい場合、どのくらいの年収で働けば良いかについて解説します。

国民年金とは

国民年金は20歳以上60歳未満の日本に住むすべての人に加入義務があります。40年間保険料を納付すると、原則として65歳から老齢基礎年金として2023年度は満額の月額6万6250円(年間79万5000円)受給できます。老齢基礎年金は保険料納付期間によって受給額が異なりますが、年収は関係ありません。
 

厚生年金とは

厚生年金は主に会社員や公務員が加入します。原則として65歳から老齢厚生年金を受給でき、受給額は年収と厚生年金への加入期間により異なります。具体的には、図表1の式で受給額を算出します。
 
図表1
 
図表1 老齢厚生年金の報酬比例部分
 
日本年金機構 は行 報酬比例部分を基に筆者作成
 
基本的に年収が高いほど、また厚生年金への加入期間が長いほど老齢厚生年金の受給額は大きくなります。
 

夫婦で月25万円の年金を受給するための年収は?

夫婦で月25万円、年間300万円の年金を受給するために必要な年収を考えてみましょう。国民年金保険料は満額納付し、厚生年金は計算を簡便にするため2003年4月以降に40年間加入したと仮定します。なお計算結果は1円未満を切り捨てます。
 

正社員の夫(妻)と専業主婦(夫)のケース

専業主婦(夫)で厚生年金への加入歴がない場合、受給できる年金は国民年金のみとなります。受給額は月6万6250円、年間79万5000円です。
 
正社員の夫(妻)は国民年金に加えて、厚生年金を受給できます。夫婦で年間300万円の年金を受給するためには、厚生年金で141万円(300万円-79万5000円×2)が必要です。厚生年金を141万円受給するためには、平均標準報酬額が53万5942円、年収で643万1304円となります。
 
つまり、正社員の夫(妻)が40年間643万1308円の年収で働き続けることができれば、夫婦合わせて月25万円、年間300万円の年金を受給できます。
 

夫婦共働きのケース

共働きの場合は、夫婦どちらも国民年金と厚生年金を受給できます。
 
国民年金は月6万6250円、年間79万5000円ですので、年間300万円の年金を受給するためには、上記と同様に、厚生年金で141万円が必要です。夫婦2人で厚生年金を141万円受給できれば良いので、厚生年金を70万5000円ずつ受給するためには、平均標準報酬額が26万7971円、年収で321万5652円となります。
 
つまり、夫婦がどちらも年収321万5652円で40年間働き続けることができれば、夫婦合わせて月25万円、年間300万円の年金を受給できます。
 

まとめ

本記事では、公的年金の概要と受給額、そして夫婦で年金を月25万円受給するための年収について解説しました。厚生年金は年収と加入期間で受給額が変わります。本記事の計算はあくまでも同じ年収で40年間働き続けた場合の計算です。
 
現実的には年収が増減する、子育てや介護で思うように働けない時期もあるなどでシミュレーションと全く同じになるわけではありませんが、目安にはなるのではないでしょうか。年金の受給額や働き方の参考にしていただければ幸いです。
 

出典

日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額

日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について

日本年金機構 は行 報酬比例部分

 
執筆者:齋藤彩
AFP

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