更新日: 2023.10.02 その他年金
72歳の親が認知症になり、年金の受給手続きをしていないかもしれません。遠方の家族が確認や手続きをできますか?
遠方の家族が認知症の親の年金請求手続きがきちんと行われているかを知り、必要があれば代わりに手続きをすることは可能なのでしょうか。本記事では、認知症の家族の年金関係の手続きを家族が代理できるかどうかや、法定代理人が必要なケースの成年後見制度の利用について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
年金の受給申請は代理人が手続きできるが本人自筆の委任状が必要
老齢年金は、65歳になると自動的に支給されるものではありません。受給を開始するには、記入した年金請求書に必要書類を添えて、日本年金機構に提出する必要があります。
病気などの理由で本人が提出できない場合は、代理人が代わりに手続き可能です。また、年金請求手続きに限らず、年金の見込み額の確認や加入期間についてなど、年金についての相談全般を、家族などが代理で行えます。
ただし、代理人が手続きや相談をする場合は、本人自筆の委任状をあわせて提出しなければなりません。本人の身体上の理由などで自筆の委任状が用意できない場合は、本人が書けない理由が分かる書類(身体障害者手帳、要介護認定の通知書など)を用意して、窓口で対応を相談しましょう。
なお、委任状を用意して代理人が手続きする場合、本人に委任の意思確認の連絡が入ることがあります。本人が認知症などで意思表示が困難な場合、委任状の記入ができても手続きが進められない可能性があることに注意が必要です。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
年金加入記録の確認は本人以外も可能
日本年金機構が進めている年金加入記録の確認への回答は、本人が認知症などで対応が難しい場合、委任状などを用意することなく家族が代わりに対応できます。本人の職歴などの情報が不明の場合は、周囲の人などに確認し、分かる範囲で回答すれば問題ありません。どうしても分からない場合は「認知症のため不明」など理由を記載して返信しましょう。
年金の受け取りは本人名義の口座のみ! 引き出しができない可能性も……
年金を受給する本人が認知症の場合、請求手続きができても振り込まれた年金を引き出せないリスクがあります。なぜなら、銀行は口座名義人が認知症になり十分な判断能力が失われたことを知ると、不正利用などを警戒し、口座を凍結して預金の引き出しや解約などをできなくするためです。
年金の振込口座が凍結されると、たとえ家族であっても振り込まれた年金を引き出せなくなります。年金の振込口座は受給者本人名義でなければならず、家族の口座などへの変更はできません。ひとたび口座が凍結されてしまえば、本人の生活費や医療・介護の費用を年金でまかなえず、家族が立て替えなければならなくなる可能性があるのです。
本人が認知症であることを申告しなくても、銀行は窓口でのやり取りの違和感や、銀行に名義人が来店しなくなったことなどから認知症を疑います。疑いが強くなれば、口座が凍結される可能性があることを覚えておきましょう。
本人の意思表示が難しい場合の年金手続きは成年後見制度の利用を
本人が認知症で年金の請求や手続き状況の確認などの手続きができない場合は、判断能力が不十分な人の契約や財産管理などを代理で行える権限を持つ、成年後見人を立てる必要があります。すでに認知症である人の場合、利用できるのは家庭裁判所が後見人を選任する「法定後見制度」です。
法定後見制度を利用するには、家庭裁判所に後見等の開始の申し立てを行い審判を受けましょう。申し立てから制度の利用開始までは3〜4ヶ月かかります。
成年後見人を立てると、凍結した銀行口座からの出金や、解約などの手続きも可能となります。
認知症の家族の代理手続きは法定代理人が必要
認知症の家族に代わって年金の状況確認や請求手続きなどを行う必要がある場合、本人の意思表示のもと、自筆の委任状を作成する必要があります。すでに十分な意思能力がない場合は、法定代理人である成年後見人を立てて、手続きを代理してもらわなければなりません。
本人が認知症になると、年金振込口座が凍結されるリスクもあります。成年後見制度を申し立ててから利用開始までには時間がかかるため、必要になったら速やかに手続きを行いましょう。
出典
日本年金機構 老齢年金請求書の記入方法等
日本年金機構 私の代わりに、子供が相談に行ってもいいですか。
日本年金機構 年金相談を委任するとき
日本年金機構 本人が認知症のため、本人が回答することができません。どうしたらいいでしょうか。
渋川市 (Q&A)年金の受取口座について、本人名義以外の口座に変更できますか。
法務省 成年後見制度・成年後見登記制度 Q&A
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー