退職後、年金の支払いはどちらがお得?「扶養に入る」「自分で支払う」場合のメリット・デメリットも解説
配信日: 2023.10.05
また、会社員の夫または妻がいる人は、「第3号被保険者」に切り替えることもできます。本記事では、退職時の年金切り替え手続きについて、どちらがお得なのかも含めて解説していきます。
執筆者:谷口まり恵(たにぐち まりえ)
一級ファイナンシャルプランニング技能士
第1号被保険者とは
第1号被保険者は、20歳以上60歳未満の自営業者・農業者と家族、学生、無職の人など、2号にも3号にも該当しない人を指します。
毎月1万6520円の国民年金保険料を納める必要があり、前納すると割引が適用されます(令和5年度現在)。仮に、夫が会社を退職し第1号被保険者になると、夫に扶養されていた妻も第1号被保険者として国民健康保険料を納める義務が生じます。
また、上記の定額保険料に月額400円の付加保険料を上乗せして納めると、将来受け取れる老齢基礎年金に付加年金がプラスされます。付加年金の金額は200円×付加保険料納付月数で計算できます。
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第3号被保険者とは
第3号被保険者は、会社員や公務員などの第2号被保険者に扶養されている配偶者のことです。保険料は配偶者が加入している厚生年金や共済組合がまとめて負担するので、本人が納める必要はありません。
配偶者が会社員や公務員などで第2号被保険者に該当する場合は、要件を満たせば第3号被保険者として配偶者の扶養に入れます。具体的な要件は以下の通りです。
・20歳以上60歳未満
・日本国内に住所がある
・同居の場合 本人の年間収入が130万円未満かつ収入が扶養者の収入の半分未満
・別居の場合 本人の年間収入が130万円未満かつ収入が扶養者の仕送り額未満
どちらがお得?
第1号被保険者と第3号被保険者のどちらに切り替えるのがお得なのかを考えてみましょう。
国民年金保険料の負担額
まず、納める国民年金保険料で比較してみます。第1号被保険者は毎月1万6520円を納付するので、年間では1万6520円×12ヶ月=19万8240円もの金額を支払います(令和5年現在)。
厚生年金保険料のように、事業主と折半して負担する制度もないため、上記の金額すべてを自分で納める必要があります。
一方、第3号被保険者の自己負担額はありません。自分で国民保険料を納める必要がなく、基礎年金がもらえることを考えると、第3号被保険者に切り替えたほうがお得だといえます。
利用できる制度
次に、利用できる制度で比較してみます。第1号被保険者が利用できる制度として、以下が挙げられます。
・付加保険料の納付
・国民年金基金
・任意加入制度
いずれも将来受け取る年金額を充実させるための制度ですが、第3号被保険者は上記の制度を利用することができません。現在保険料を負担する必要はありませんが、将来の年金額を上乗せするための選択肢も限られてしまいます。
まとめ
退職後すぐに次の会社に就職しない場合は、自分で年金の切り替え手続きが必要です。加入者の状況によって、第1号被保険者と第3号被保険者のどちらかを選択します。
負担する国民年金保険料のみを比較すると、第3号被保険者のほうがお得に見えますが、将来もらえる年金を充実させる観点では、デメリットもあると言えます。
どちらを選択した場合でも、老後の生活に向けて将来の見込年金額をあらかじめ把握しておく必要があります。不足する場合はiDeCoや個人年金保険などを活用し自助努力で年金を上乗せする準備をしておくと安心でしょう。
出典
日本年金機構 国民年金保険料
執筆者:谷口まり恵
一級ファイナンシャルプランニング技能士