更新日: 2023.10.11 その他年金
年金の最高額が受け取れるような年収の人はあまりいない? 何割くらいいる?
本記事では、公的年金の平均月額をはじめ、年金の最高支給額とその金額をもらえる人の年収、将来的に受け取れる年金額を増やす方法をまとめて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
公的年金受給者の平均年金月額はどのくらい?
老齢基礎年金や老齢厚生年金といった公的年金受給者がもらえる平均年金月額は図表1のとおりです。
【図表1】
受給者の平均年金月額 | |
---|---|
厚生年金保険(第1号) | 14万5665円 |
国民年金 | 5万6479円 |
厚生年金保険(第2~4号)(共済年金を含む) | 13万2306円 |
厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報」より筆者作成
公的年金制度は、1階部分が国民年金(基礎年金)、2階部分が厚生年金の2階建て構造になっています。国民年金は日本に住む満20歳から60歳までのすべての人に加入義務があるのに対し、厚生年金は会社員や公務員といった、適用事業所で常時雇用されている70歳未満の人に加入義務があります。
国民年金の被保険者が受け取れるのは老齢基礎年金のみですが、厚生年金の被保険者は老齢基礎年金に老齢厚生年金を加算した金額の受け取りが可能です。
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老齢厚生年金の最高支給額とその金額をもらえる人の年収
老齢厚生年金の受給金額は、加入期間や毎月の収入(標準報酬月額)や賞与(標準賞与額)により決まる仕組みです。厚生年金の加入期間が長く、給与や賞与の高い人が年金を多く受け取れますが、標準報酬月額と標準賞与額ともに上限があるため、老齢厚生年金の最高支給額をもらうには以下の条件に該当する必要があります。
・厚生年金の加入期間中、常に標準報酬月額の上限となる63万5000円以上の給与をもらう
・厚生年金の加入期間中、常に年間3回賞与を受け取る、かつ標準賞与額の上限となる150万円以上もらう
・中学校卒業後すぐの15歳から厚生年金に加入して70歳まで働く
上記の場合の年収は1212万円です。老齢厚生年金の最高支給額をもらうためには、厚生年金に加入していた間の平均年収が最低限1212万円以上でなければならないのです。
なお、令和3年度末における標準報酬月額別被保険者数で、標準報酬月額上限の「第32級(65 万円)」に該当するのは男性が217万9000人、女性が27万6000人の合計245万5000人でした。割合を計算してみると厚生年金被保険者数(第1〜4号) 4535万人に対して、5%程度です。
将来的に受け取れる年金を増やす方法
年金の最高額をもらうのは難しくても、以下の方法で将来的に受け取れる年金を増やせます。
・年金の繰下げ受給
・年金の追納
・付加保険料を納付
方法別に内容を解説します。適切な方法にて年金を増やしてみてください。
年金の繰下げ受給の増減率は1ヶ月あたり0.7%
60歳以降も働いたり、貯金などで生活費を確保したりできる場合は年金の繰下げ受給を検討してみてください。年金の繰下げ受給は、老齢基礎年金や老齢厚生年金を65歳で受け取らずに、66歳0ヶ月〜最長75歳0ヶ月まで遅らせる制度です。1ヶ月遅らせるごとに0.7%の増減率が適用された年金を受け取れます。
例えば、年金の受け取り開始時期を70歳0ヶ月まで遅らせたときに適用する増減率は42.0%、最長である75歳0ヶ月まで繰下げた場合は増減率を84.0%にまでアップできるのです。
免除または納付猶予を受けた年金の追納
保険料の免除・納付猶予、学生納付特例の承認を受けている人は、年金の追納を検討してみてください。保険料の免除や納付猶予、学生納付特例によって、年金を満額納付していない場合は受け取れる年金額が少なくなるからです。
満額を受け取れる場合の年金額は年度によって異なりますが、令和5年度で月額6万6250円、年額で79万5000円です。未納分の年金保険料を追納すれば、納付月数が増えてもらえる年金額も多くなります。
付加保険料を納付する
付加保険料を納付することも、将来的に受け取れる年金を増やすために効果的な方法です。付加保険料の納付対象者は「国民年金第1号被保険者」「65歳未満の任意加入被保険者」で、定額保険料に月400円の付加保険料を上乗せした保険料を納付します。
年金の受け取るときに、200円×付加保険料納付月数が加算されますが、年間の保険料が400円×12月分で4800円、もらえる年金額は200円×12月で2400円となり、2年以上受け取れば元が取れる計算です。
年金の最高額をもらうためには年金の種類や年収の高さが求められる
年金の最高額を受け取るためには、中学を卒業後すぐの年収が1200万円を超えていなければなりません。さらにその状態を70歳まで継続する必要があるため、現実的なケースではないといえるでしょう。
年金は老後の生活資金源になる大切なお金ですが、それだけに頼るのではなく、貯金をしておいたり、繰下げ受給などといった方法も取り入れたりすることも心掛けるとよいでしょう。
出典
厚生労働省 厚生年金保険・国民年金事業年報 結果の概要
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
日本年金機構 付加保険料の納付
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー