更新日: 2023.10.13 その他年金
夫婦2人の年金額は平均「約22万円」!? 現役時代にどれだけ稼げばこの金額になる?
これは現役時代に会社員等であった場合(国民年金第2号被保険者)の年金受給額を指していますが、具体的にはどれだけ働けばこの金額になるのでしょうか? また、会社員以外の場合、年金の受給額はいくらになるでしょうか?
本記事では、将来の年金受給額がどれくらいになるのか、年金額を増やすにはどうすればよいのかを考えてみます。
執筆者:御手洗康之(みたらい やすゆき)
CFP、行政書士
会社員の厚生年金受給額を計算してみよう
老後に夫婦合わせて約22万5000円の年金を受給するには、現役時代に収入がどれぐらいあればいいのか計算してみましょう。例として、夫が会社員(第2号被保険者)として40年間働き、妻が専業主婦(第3号被保険者)であった場合を考えてみます。
この場合、妻は国民年金(老齢基礎年金)を満額受給できます。2023年度の国民年金の満額は、65歳から受給を開始した場合、月額6万6250円(年79万5000円)です。
また、夫は厚生年金を受給しますが、厚生年金の内数として国民年金が含まれます。受給できる年金の内訳は以下のようになります。なお計算は簡略化しているため、厳密な計算とは若干異なります。
年金月額22万5000円=厚生年金額+13万2500円(夫婦の国民年金額)
厚生年金額≒9万2500円
年金を月に約22万5000円受給するためには、国民年金を満額受給したうえで、厚生年金を9万2500円受給する必要があるということになります(加給年金はここでは考慮しません)。
厚生年金の受給額(年額)は、加入期間や加入期間中の報酬額に応じて、以下の計算式で決まります。
報酬比例部分=平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数
※加入期間によって計算に利用する定数が異なるため、ここでは2003年4月以降として計算。
この計算式に目標額の9万2500円を当てはめてみると、このようになります。
9万2500円≒平均標準報酬額×5.481/1000×480ヶ月(40年間)÷12
平均標準報酬額≒42万2000円
およそ月額42万円程度あれば、夫婦で22万円程度の年金をもらえる計算になります。
なお、ご自身の正確な年金受給額(見込み)が知りたい場合は、ねんきん定期便や、ねんきんネットなどを活用することをおすすめします。
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自営業者の場合は注意点も
前述した内容は会社員や公務員、つまり国民年金第2号被保険者とその配偶者に関するものであり、自営業者のような第1号被保険者の方は注意が必要です。
自営業者の場合、厚生年金制度は適用されません。ただし、転職などにより途中で会社員から自営業に転身した場合は、会社員時代の加入期間に応じた厚生年金は受給できます。
また、会社員の方の配偶者(第3号被保険者)については、保険料は通常、パートナーである第2号被保険者が加入する年金制度が負担しますが、自営業者の配偶者の場合は第1号被保険者となるため、国民年金保険料を自ら納める必要があります。
そのため、自営業者の方は将来的に受給できる年金額が会社員の方に比べると少なくなるケースが多くなります。
年金の受給額を増やすには?
それでは、目標の年金額に近付けるために、年金受給額を増やしたい場合、どのような方法があるでしょうか? まず考えられるのは、国民年金や厚生年金以外の年金受給方法、いわゆる私的年金を利用することです。
例えば、企業単位の年金制度では確定給付年金や確定拠出年金(企業により異なる)などがあり、個人単位ではiDeCo(個人型確定拠出年金)などが考えられます。自営業の場合は厚生年金が適用されないため私的年金の選択肢も多く、国民年金基金や付加年金、iDeCoなどが利用できます。
また、どのような人でも年金の繰下げ受給は年金の受給額を増やすのに有効な手段です。年金の繰下げ受給をすれば、繰り下げた月数×0.7%(最大75歳まで繰下げ可能)、年金額が増額されます。
例えば、5年間(60ヶ月)国民年金の受給を繰り下げ、70歳となる2023年度から受給した場合の加算額は以下のとおりです。
0.7%×60ヶ月=42%
79万5000円×1.42=112万8900円(月額9万4075円)
つまり、5年間繰下げ受給すれば、その後は一生、年額約113万円を受給できることになります。
長期化する老後に備えよう
本記事で説明した内容を考えると、厚生年金をもらえる会社員のほうが有利に感じますが、単純に比較できるものではありません。例えば、自営業では定年という考え方が基本的にはありませんので、長期間にわたって働くことが可能であるとも言えます。
今後、100歳まで生きることが普通になる時代が来るかもしれません。そうなれば、60歳から40年間のお金をどう確保するかは大きな課題となるでしょう。早い段階で検討しておくほど、将来に向けて多くの選択肢を持てます。この機会に将来の年金についてじっくり検討してみてはいかがでしょうか。
出典
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:御手洗康之
AFP、FP2級、簿記2級