更新日: 2023.10.14 その他年金
40代の若さで妻が急逝。パート主婦だった妻の「年金」も受け取ることは可能?
そこで、40代のパート主婦が亡くなったと仮定し、遺された夫が、妻の分の年金を受け取れるか考えてみました。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
未支給年金としては受け取れない
残念ながら、年金を受け取る前に亡くなってしまった方の場合、本来65歳から受け取るはずであった「未支給年金」を遺族は受け取ることができません。
亡くなった方が既に年金を受給していた場合であれば、遺族は未支給年金として、支給が確定しているけれどまだその方が受け取っていない部分を受け取ることができます。
しかし40代であれば、まだ年金の受給について確定している部分がないため、妻が受け取るはずだった老齢年金を、夫が未支給年金として受け取ることはできません。
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遺族年金なら受け取れる可能性がある
老齢年金を受け取れなかったとしても、遺族年金であれば受け取れる可能性があります。遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。このうち、現実的に受け取れる可能性が高いのは、遺族基礎年金になるでしょう。
遺族基礎年金とは、下記図表の1から4のうちいずれかの要件を満たした方がなくなった場合に、その方に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受け取れるものです。
ここでいう「子」とは、18歳になった年度の3月31日までにある方(障害年金の障害等級1級または2級の状態にある場合は20歳未満)が該当します。
【図表】
出典:日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
「生計を維持されている」という点については、夫の収入の方が高くとも、夫婦で同居をしており、前年の収入が850万円未満であれば認められます。また、夫の単身赴任などで同居していなくとも、妻に仕送りをしていたり健康保険において扶養関係があったりすれば認められます。
ただし残念ながら、子がいない、または子が既に18歳ないし20歳を超えているような場合は、遺族基礎年金を受け取れません。
なお、67歳以下の方が遺族基礎年金によって受け取れる額は、79万5000円と子の加算額の合計となります(1人目および2人目の子の加算額は各22万8700円、3人目以降は1人につき7万6200円)。
遺族厚生年金は受け取れないの?
パートで働く主婦の方が亡くなってしまった場合、その夫が遺族厚生年金を受け取るのは難しいでしょう。
遺族厚生年金の受給には、下記図表の1から5のうちいずれかの要件を満たすことが必要なのですが、40代でパートの主婦となると、基本的には扶養を超えて働き厚生年金に加入していなければならず、ハードルがやや高いと感じられます。
【図表2】
出典:日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
また、夫婦ともに40代で子もあり、パートの妻が亡くなった事例において、遺族厚生年金を受け取る際の受給順を考えていくと、一番順位が高いのは、18歳になった年度の3月31日までにある、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある子になります。夫が受け取るには55歳以上という要件があり、この事例では夫がそれより若いので受給することができません。
なお、遺族厚生年金の額は、死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額となり、かつ、厚生年金の被保険者期間が25年未満(300月未満)の場合は25年(300月)とみなして計算されます。ちなみに、遺族基礎年金と遺族厚生年金は両方同時に受け取ることができます。
パート主婦の妻が亡くなった場合でも遺族年金なら受け取れる
40代という若さでパート主婦の妻が亡くなってしまったとき、老齢年金相当額の未支給年金を受け取ることはできませんが、遺族年金であれば一定の条件の下で受け取ることができます。
夫の存命中にパート主婦の妻が亡くなっても、年金を何も受け取れないわけでもありません。
もし、夫よりも先に妻が亡くなったときは、遺族年金の受給要件を満たしていないか確認してみてください。40代という若さで亡くなっていて子もいるような場合など、場合によっては意外と要件を満たしているかもしれません。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 さ行 生計維持
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
執筆者:柘植輝
行政書士