更新日: 2023.10.13 その他年金

「年金受給年齢」引き上げで得する人、損する人

「年金受給年齢」引き上げで得する人、損する人
2022年の年金制度改正に伴い、繰下げ受給の上限年齢が引き上げられるなど、さまざまな変更が行われました。しかし、繰下げ受給や受給開始年齢の引き上げについて、どのようなメリットがあるのか疑問を抱く方も多いようです。
 
今回は、繰下げ受給の特徴やメリット、年金制度改正・受給開始年齢引き上げで得する人と損する人について解説します。繰下げ受給や年金制度の変更についての理解を深め、より具体的な老後資金計画を立てる際の参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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年金受給開始年齢の上限は70歳から75歳へ

2022年4月から年金制度が改正され、繰下げ受給の上限年齢が、それまでの70歳から75歳に引き上げられました。これにより、繰下げ受給時期の選択肢が広がり、より多くの年金を受給することが可能になりました。
 
また、法改正により、繰下げ受給の上限年齢の引き上げ以外にも、以下のような点が変更されました。

・繰上げ受給の減額率が、ひと月あたり0.5%から0.4%に変更
・在職老齢年金制度の基準緩和
・加給年金の支給停止となる規定の変更
・在職定時改定の導入など

 

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年金受給開始年齢を後ろ倒しできる「繰下げ受給」とは

繰下げ受給は、年金の受給開始時期を66歳から75歳の間で後ろ倒しにすることができる制度です。年金の受給開始時期を1ヶ月遅らせるごとに、将来の年金額が0.7%増加し、最大で84%増額できます。
 
増加した年金額は、一生涯にわたり継続されるため、将来の年金受給額を増やすための有力な手段の一つとして注目されています。
 

繰下げ受給の年齢に応じた増額率と受給額

厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、月々の平均年金額は14万5665円でした。以下は、65歳での年金受給額が14万5665円の場合における、繰下げ受給の年金額の一覧です。
 
【表1】

繰下げ受給の開始時期 増額率 年金受給額
65歳 0% 14万5665円
66歳 8.4% 15万7900円
67歳 16.8% 17万136円
68歳 25.2% 18万2372円
69歳 33.6% 19万4608円
70歳 42.0% 20万6844円
71歳 50.4% 21万9080円
72歳 58.8% 23万1316円
73歳 67.2% 24万3551円
74歳 75.6% 25万5787円
75歳 84.0% 26万8023円

※繰下げ受給の開始時期は各年齢0ヶ月の場合
※実際の金額とは異なる場合があります
※日本年金機構「年金の繰下げ受給」を参考に筆者が作成
 
年金の受給開始時期が65歳と75歳では、月々の年金額に12万円以上の差があることが分かります。
 

年金受給開始年齢を前倒しできる「繰上げ受給」とは

繰上げ受給とは、年金の受給開始年齢を60歳から65歳になるまでの間で前倒しできる制度です。ただし、年金の受給開始年齢を1ヶ月繰り上げるごとに、将来の年金額が0.4%減少します。もし、年金を60歳0ヶ月から受け取る場合、年金額は24%減少することになります。
 
繰上げ受給は、年金を早めに受け取りたい場合に有効な手段です。
 

年金受給年齢の引き上げで得する人・損する人

年金制度の改正により、繰下げ受給の年齢が最大75歳まで引き上げられたことで、これまで以上に繰下げ受給を通じて年金額を増やす機会が増えました。
 
また、厚生年金の加入条件が緩和され、短時間労働者(パートやアルバイト)も厚生年金に加入しやすくなっています。さらに、在職老齢年金制度の基準緩和により、高齢者も働きやすくなりました。
 
このように、年金受給年齢の引き上げなどを含む年金制度の改正により、得する方が増え、損してしまう方が少なくなると予想されます。
 

自身のライフプランに合わせて年金の受け取り方を選ぶことが重要

年金制度の改正により、繰下げ受給の上限年齢が75歳まで引き上げられました。これにより、繰下げ受給を選択することで、年金額が最大で84%増加する可能性があります。また、厚生年金の加入条件や在職老齢年金制度の基準も見直され、多くの方が年金制度改正でメリットを享受できる見込みです。
 
老後に再雇用を検討する、自営業者として続ける、年金だけで生活するなど、自身のライフプランや老後資金計画に合わせて、繰下げ受給などの年金受給方法を選択することが非常に重要になってくるでしょう。
 

出典

厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
日本年金機構
 「年金の繰下げ受給」

 「年金の繰上げ受給」
 「令和4年4月から年金制度が改正されました」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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