老後も再雇用の予定ですので、年金は「70歳」から受け取ります。金額はどれだけ増えるのでしょうか?
配信日: 2023.10.16
ただし、これはあくまでも原則であり、実際には受け取る時期を遅らせることも可能です。この制度には受給額の増加というメリットがあるため、老後も再雇用で働く人などによく利用されています。
そこで本記事では、年金を70歳からもらうケースに関して、どれくらい増えるのかを具体的に紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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そもそも年金の繰下げ受給とは
まず年金の繰下げ受給について、どのような制度なのか正しく把握することが大事です。この制度は老齢厚生年金と老齢基礎年金の両方を対象としています。本来どちらも65歳から受給できますが、66歳以降へと受給開始時期を後ろにシフトさせると、その期間に応じて金額が増える仕組みです。
1ヶ月あたりの増額率は0.7%で、シフトの幅が大きいほど増額率も高くなります。遅らせた(繰り下げた)月数をこの割合に乗じた値が実際の増額率です。例えば、1年遅らせた場合は「0.7%×12ヶ月=8.4%」受給額がアップします。
なお、決定した増額率は生涯にわたって変わりません。当初、受給の開始時期の上限は70歳でしたが、令和2年の改正によって75歳まで引き上げられました。この改正には、働く高齢者の増加や平均寿命の延びなど、社会的な変化が影響しています。75歳まで繰り下げると増額率は最大の84%です。
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厚生年金の平均受給月額を用いた試算
70歳から年金を受給する場合、65歳から遅らせる期間は5年です。前述のように1年あたり8.4%ずつ増えるので、このケースの増額率は「8.4%×5年=42%」となります。受給予定の厚生年金の月額に、この増額率を乗じることで、どれだけ増えるのか試算しましょう。
令和4年12月に、厚生労働省は「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を発表しました。同資料によると、令和3年の年度末における厚生年金の平均受給月額は14万5665円です。この金額には老齢厚生年金だけでなく、併給する老齢基礎年金も含まれています。
平均受給月額と同額を70歳から受け取る場合、1ヶ月あたり「14万5665円×42%=6万1179円」が加算されます。なお、実際は老齢厚生年金と老齢基礎年金は個別に計算され、どちらか一方の受給のみを遅らせることも可能です。
老後の就労に伴う繰下げ受給の注意点
再雇用などで老後に就労する人は、在職老齢年金と繰下げ受給の関係について注意が必要です。在職老齢年金という制度により、老後に働いている人でも年金を受け取れます。
ただし、給料などが増えすぎて要件を満たさなくなると、支給の全額もしくは一部が停止されてしまうのです。受給の開始時期を遅らせている人も例外ではありません。支給の停止に相当する場合は、その金額分が繰下げ受給の計算時に除外されてしまいます。まだ受給していないので支給を停止されても関係がない、という勘違いによる油断は禁物です。
年金の繰下げ受給だけでなく、在職老齢年金の知識も身につけて、労働時間などをうまく調整することがポイントになります。
老後を豊かにする年金受給の方針を検討!
老後の生活を豊かにしたい人にとって、年金の繰下げ受給は魅力的な制度です。70歳からもらう場合は42%も受給額がアップします。再雇用などで収入源があり、すぐに年金が必要でない状況なら、できるだけ受け取りを遅らせることも1つの手です。
在職老齢年金との関係も考慮しながら、自身にとって最も有利な年金受給の方法を検討しましょう。
出典
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー