更新日: 2023.10.20 その他年金

うちは共働きですが、世帯年収がいくらなら年金を「月25万円」受け取れますか?

うちは共働きですが、世帯年収がいくらなら年金を「月25万円」受け取れますか?
総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)家計の概要」によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の支出は26万8508円となっています。それを参考にし、老後は月に25万円の年金収入を得ることを目指し、共働きを続けている夫婦もいるようです。
 
そこで、共働き世帯においては、世帯年収がいくらあれば月25万円の年金収入を得られるか、考えてみます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

月25万円の年金収入は共働きならば実現可能性が高い

「老後に夫婦合わせて月25万円の年金収入を得る」ことは、夫婦共働きの世帯であれば、ある程度現実的な金額です。
 
厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、平均的な老齢厚生年金の受給額はおよそ14万6000円となっています。夫婦がお互いに平均的な額で老厚生年金を受給したとすると、合計およそ29万2000円です。
 
夫婦の収入や働き方にもよりますが、月25万円の年金を得ることは、統計を見る限り、ある程度現実的なものになります。
 

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具体的にどれくらいの世帯収入が必要?

では、月25万円の年金収入を得るには、具体的にどれくらいの世帯年収が必要か考えてみましょう。
 
条件は厚生労働省の「公的年金シミュレーター」を利用して、下記のように設定します。
 

●夫婦ともに1980年11月1日生まれ
●夫婦ともに20歳から22歳は学生として国民年金に加入
●23歳から60歳の間、厚生年金に加入して就労
●年収は上記期間中平均して353万円

 
上記条件で計算すると、1人当たり年間152万円の年金を得ることができます。月額換算ではおよそ12万7000円となります。つまり世帯年収706万円あれば、夫婦合わせて月25万円の年金を得られることになるわけです。
 
国税庁の「令和3年分 民間給与実態統計調査」によれば、日本の平均年収は、1年を通じて勤務した正社員の場合で508万円となっていることから、夫婦共働きであれば、月25万円の年金収入を得ることも不可能ではなさそうです。
 

年金を増やしたいときはどうすればいい?

「夫婦で月25万円の年金収入は得られないかもしれないが、せめてもう少し年金の額を増やしたい」という風に思ったときは、働く時間を増やすというのも手です。
 
例えば、夫婦のうち妻の平均年収が、23歳から60歳まで240万円だったとしましょう。この場合、65歳以降に受け取れる年金は年間128万円、月額10万7000円程度です。
 
では、年収はそのままに、働く期間を65歳まで伸ばしてみましょう。すると、年収は同じでも、66歳以降に受け取る年金額は、144万円となります。月額換算で12万円です。
 
現在ではほとんどの企業において、本人の希望によって65歳まで働くことのできる環境が整備されているため、65歳まで働くことは、さほど特別なことではありません。企業によっては、70歳まで継続して就労可能とされていることもあります。
 
また、年金は働きながら受け取ることもできます。これによって、年金+給与収入で、月25万円の収入を実現できます。
 
例えば、妻の年金額が月10万円程度であっても、パートで月3万円を稼げば、妻の収入の合計額は13万円となります。夫が12万円の年金収入を得れば、夫婦合わせて月25万円の収入を確保することもできます。
 
その他にも、年金は75歳までであれば繰下げ受給(年金受給開始時期を1ヶ月遅くするごとに、0.7%年金額が増加する仕組み)によって、最大で84%も増やすこともできます。就労しながら繰下げ受給をすることで、より年金額を増やすことができます。
 

まとめ

将来、夫婦で月25万円の年金を受け取ろうと思ったら、夫婦ともに厚生年金に加入し、706万円の世帯年収を得ることが必要となります。
 
仮に年収が706万円に達しなかったとしても、夫婦で働く期間を延ばしたり、年金の受給を繰り下げたりすることで、月25万円の収入を確保することができます。
 
将来年金をいくら受け取りたいか決まっている場合、早めに計画を立てていくと、その年金額を現実的なものとすることができます。今一度、理想的な老後を過ごすためにどれくらいの年金収入が必要なのか、考えてみてはいかがでしょうか。
 

出典

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)家計の概要

厚生労働省 令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況

国税庁 令和3年分民間給与実態統計調査

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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