発達障害の息子をもつ60代の母ですが、息子は「障害年金」を受け取れるのでしょうか?

配信日: 2023.10.27

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発達障害の息子をもつ60代の母ですが、息子は「障害年金」を受け取れるのでしょうか?
発達障害の程度が重く、その症状に悩む方の中には、障害年金が受けられないか疑問に思っている方もいるようです。そこでこの記事では、発達障害の子を持つ60代の女性から相談を受けた際の事例を基に、発達障害を持つ方が障害年金を受け取れる条件や、支給金額などについて解説します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

障害年金は発達障害でも受け取れるが、ハードルは高い

障害年金とは、国民年金や厚生年金に加入している方が病気やけがによって一定の障害を負った際に、年齢に関係なく受け取れる年金です。
 
また、病気やけがと関係なく、先天的に障害を有しているような場合も同様に、障害年金の支給の対象となります。
 
図表1
 
図表1
 
出典:政府広報オンライン 障害年金の制度をご存じですか?がんや糖尿病など内部疾患のかたも対象です
 
そのうち、国民年金の加入者が受け取れる障害年金を「障害基礎年金」といいます。厚生年金加入者は、障害基礎年金に加えて「障害厚生年金」を受け取ることになります。
 
障害年金には、障害の程度に応じて障害等級が1級から3級まであり(下図参照)、最も程度が重いのが1級となります。
 
図表2
 
図表2
 
出典:政府広報オンライン 障害年金の制度をご存じですか?がんや糖尿病など内部疾患のかたも対象です
 
障害基礎年金における障害の程度は1級ないし2級があり、障害厚生年金の場合は1級から3級まであります。なお障害厚生年金の場合は、1級から3級に比べて障害が軽度であっても、一時金として「障害手当金」を受け取れることもあります。
 
障害年金の要件はどの等級も厳しく、多少日常生活や仕事に影響がある、という程度では受け取ることができません。発達障害においては、不注意が多い、落ち着きがないといった程度では認められないのです。「発達障害は障害年金の支給対象となりうるが、受給はそう簡単ではない」ということを知っておいてください。
 
なお、親の年齢や老齢年金の受給と本人の障害年金の支給とは関係がないため、母親が60代で年金受給中であっても子の障害年金には何ら影響ありません。
 

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障害年金で受け取れる額は何円?

障害年金で受け取れる金額は、障害の程度や、子どもや配偶者の有無などによって異なります。
 
障害基礎年金については、1級が99万3750円、2級が79万5000円となります。これを基準に、18歳到達年度末日までの子(または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子)があれば1人につき22万8700円(3人目以降は1人につき7万6200円)が加算されます。
 
障害厚生年金については、1級なら年金加入期間中の標準報酬額と加入期間(加入期間が300月未満の場合は、300月とみなされます)で算出される「報酬比例の年金額」を1.25倍したものを基準に、一定の条件に合致する配偶者がいれば配偶者の加給年金額22万8700円が加算されます。
 
2級においては報酬比例の年金額に配偶者の加給年金額を加えたもの、3級においては報酬比例の年金額(昭和31年4月2日以後生まれの人であれば、59万6300円に満たない場合は59万6300円)となります。
 
図表3
 
図表3
 
出典:政府広報オンライン 障害年金の制度をご存じですか?がんや糖尿病など内部疾患のかたも対象です
 
なお、障害年金は働きながら受け取ることができます。給与が一定額あるから不支給となったり、減額されたりするといったことはありません。
 

申請方法は?

発達障害を原因とする場合も含め、障害年金の申請は、下図のように年金請求書と添付書類を年金事務所へ提出する形で行います。ただし、障害基礎年金を受給する場合は住んでいる市区町村でも手続きができます。
 
図表4
 
図表4
 
出典:政府広報オンライン 障害年金の制度をご存じですか?がんや糖尿病など内部疾患のかたも対象です
 
申請に必要な添付書類は申請者の状況によっても異なるため、申請前にそのことを年金事務所へ相談しておくことが推奨されています。
 
申請が無事に受理され支給が決定されると、3ヶ月程度で年金決定通知書と年金証書が送られてきます。そして、そこから1ヶ月~2ヶ月程度で実際に障害年金が給付されることになります。
 

障害年金の申請は、まず年金事務所に相談を

各障害等級に該当する場合であれば、発達障害を理由に障害年金を受け取ることができます。しかし、発達障害であれば誰でも障害年金を受け取れるわけではなく、社会生活や日常生活に制限がかかるようなものでなければならず、実際に障害年金を受け取れる方はそう多くはないでしょう。
 
障害年金の受給ができないか検討しているのであれば、まずは最寄りの年金事務所へ相談してみてください。
 

出典

政府広報オンライン 障害年金の制度をご存じですか?がんや糖尿病など内部疾患のかたも対象です

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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