更新日: 2023.10.26 その他年金

「糖尿病」の夫は障害年金の対象者だった?受給額はいくら?

執筆者 : 柘植輝

「糖尿病」の夫は障害年金の対象者だった?受給額はいくら?
糖尿病は日本人に多いといわれる疾患のひとつです。糖尿病患者の中には、病状が重く日常や仕事に多くの制限がかかり、障害年金を受給できないかと悩む人もいるようです。そこで、糖尿病患者が障害年金の対象者になる可能性や、受給できる金額について解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

障害年金って何?65歳未満でも受け取れるの?

障害年金とは、病気やけがなどによって仕事や日常生活に著しく制限を受ける状態になったときに受け取れる年金です。公的年金加入者であれば65歳未満の現役世代であったとしても受け取ることができます。
 
例えば、視覚や聴覚、肢体が不自由となった場合や、長期療養が必要な内部疾患、統合失調症をはじめとした精神の障害などによって、一定以上の制限が日常生活や仕事に生じた場合が該当します。
 
なお、障害者手帳の交付基準と障害年金の支給基準は別のものとされています。そのため、障害者手帳を持っていない場合でも、障害年金を受給できる場合があります。
 

糖尿病を理由に障害年金を受けるのは容易ではない

障害年金は糖尿病であっても対象になります。しかし、糖尿病を理由に障害年金を受け取ることは容易ではありません。
 
図表1
 
図表1
 
出典:政府広報オンライン 障害年金の制度をご存じですか?がんや糖尿病など内部疾患のかたも対象です
 
障害年金が支給される「障害の程度」には、上図のように1級から3級までの「障害等級」があるのですが、一番重い1級に該当するには、他人の介助がなければ日常生活すらままならないような状態にあることが必要です。
 
一番程度の軽い3級であっても、労働について著しい制限がある状態や、「検査日より前に90日以上継続して必要なインスリン治療を行っており、かつ、意識障害により自己回復ができない重症低血糖の所見が平均して月1回以上ある」など、かなり重症な病状であることや著しい制限が必要な状態であり、そう簡単には認められません。
 
また上記の障害等級とは別に、一時金形式で受け取る「障害手当金」というものもあります。この手当金であっても、労働に制限があるか制限を加えることが必要であり、相当程度に病状が重くなければなりません。
 
そのため、多くの糖尿病患者の方のように「定期的な通院が必要」といった程度では障害年金を受け取ることはできないでしょう。
 
なお、国民年金に加入している方が受け取る「障害基礎年金」における障害の程度は、1級ないし2級のみとなります。厚生年金に加入している方が受け取る「障害厚生年金」であれば1級から3級、および障害手当金まで存在しています。
 
この点も考えると、国民年金加入者が糖尿病を理由に障害年金を受け取るハードルは、かなり高いものとなります。
 

障害年金はいくら受け取れる?

障害年金によって受け取れる金額は、障害等級や家族構成などによって異なります。
 
参考までに、令和5年度の障害基礎年金であれば1級の場合、99万3750円を基準とし、さらに子ども1人につき22万8700円が加算されます(18歳到達年度の末日までの間にある子、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子とします。また、第3子以降は1人につき7万6200円となります)。
 
図表2
 
図表2
 
出典:政府広報オンライン 障害年金の制度をご存じですか?がんや糖尿病など内部疾患のかたも対象です
 
例えば18歳以下の子どもが1人いる方の場合、122万2450円の障害基礎年金を受け取れるわけです。
 
また障害厚生年金の場合、1級の支給額は厚生年金の加入期間中の標準報酬額と加入期間によって決まる「報酬比例の年金額」を1.25倍したものに、65歳未満の配偶者が存在する場合は、配偶者の加算額22万8700円を加えた額を受け取ることができます。
 
仮に報酬比例の年金額が100万円で、65歳未満の配偶者がいる方の場合、147万8700円が支給されるということです。
 
なお、障害基礎年金と障害厚生年金は併給することができます。仮に夫と65歳未満の妻と18歳以下の子ども1人という世帯において、夫が1級の障害厚生年金を受け取る場合、その金額は270万1150円となるわけです。
 

まとめ

糖尿病の方は障害年金の支給対象になる可能性があります。しかし、障害年金を受給するには病状が相当程度に重くなければならず、単に糖尿病というだけでは受給できません。
 
受給額は該当する等級によって異なりますが、仮に1級の障害年金を受け取ったとしても、それのみで十分に生活できるとは限らない可能性もあるため、多額のお金を受け取れることを期待するべきではないでしょう。
 
障害年金は、認定基準が複雑で判断しづらいものです。詳細な内容や手続きの方法については最寄りの年金事務所へ相談してみてください。
 

出典

政府広報オンライン 障害年金の制度をご存じですか?がんや糖尿病など内部疾患のかたも対象です

日本年金機構 障害年金のお知らせ

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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