更新日: 2023.10.26 国民年金

大学の友達が「年金払ってない」と言っていましたが、支払いは国民の義務ではないんですか?

執筆者 : 柘植輝

大学の友達が「年金払ってない」と言っていましたが、支払いは国民の義務ではないんですか?
社会問題の一つとして、国民年金保険料の未納があります。おそらく多くの方が「自分の周りにもそういった人がいる」または「聞いたことはある」と感じることでしょう。
 
そこで、国民年金保険料の未納率はどれくらいあるのか、未納のままで許されるのかなど、国民年金保険料の未納について気になるであろうことを、ある学生からの相談事例を例にまとめてみました。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

国民年金の納付率は?

厚生労働省年金局の公表したデータによれば、令和2年度分の国民年金保険料の最終納付率は80.7%となるようです。未納付の割合はおよそ20%ということになり、問題視されるのも納得できる数字です。
 
とはいえ、今後は納付率が高くなっていき、未納付率は小さくなっていくことが想定されています。
 
図表1
 
図表1
 
出典:厚生労働省 令和4年度の国民年金の加入・保険料納付状況
 
実際、平成14年度分の最終納付率は66.9%と今よりもかなり少ない数字でしたが、ここ20年ほどで14%近くも納付率が上がってきています。
 
参考までに、令和4年度の納付率は現時点で76.1%です。今までの最終納付率の推移を見る限り、令和4年度もおそらく最終納付率は80%を超えることが想定されます。
 

国民年金保険料の支払いは義務であり、申請せず未納が続くと差し押さえもある

多くの方がご存じのとおり、20歳以上60歳未満で日本に居住している場合、国民年金保険料の支払いは義務として課せられています。たとえ学生であってもその点に違いはありません。
 
ただし、現実にはそれを無視して、未納状態が続いている方もいます。特に大学生であれば、制度について知識が薄いことも相まって、未納状態となっていることもあるようです。
 
しかし、学生納付特例制度の申請をせず国民年金保険料の未納状態が長く続くと、最終的には家や給料、貯金といった財産が差し押さえられ、それが納付に充てられる可能性があります。
 
また、世帯主には本人と連帯して保険料を納付する義務が課せられています。大学生の場合、最悪保護者にまで迷惑がかかってしまう可能性もあります。
 
近年では未納者に対する納付勧奨が、民間事業者への委託によって活発に行われているようです。納付率の増加を見ると分かるように、年々未納状態に対する目は厳しくなっているため、未納のまま放置することは絶対にすべきではありません。
 

未納のままでは将来の年金に影響する

国民年金は40年(480月)納めることで、ようやく満額(令和5年度の場合、年79万5000円)を受け取ることができます。もし、未納になっている期間があると、その分の年金額が減額されます。
 
参考までに、大学生の間の2年間分が未納となっていたとすると、将来受け取れる年金額は75万5250円と、3万9750円少なくなります。仮にその金額の年金を20年間受け取りつづけるとなると、生涯の年金受給額は、満額納めてきた方に比べて80万円近く少なくなることになります。
 

国民年金保険料が払えないときは?

学生は基本的に収入が限られています。国民年金保険料はここ数年、1万6000円前後を推移しています。社会人ならともかく、学業という本業を有している学生は働ける時間に制限があるため、大きな金額です。
 
もし国民年金保険料が払えないのであれば、学生納付特例制度を利用してください。そうすることで、国民年金保険料を納めずとも未納扱いとはなりません。
 
ただし、将来の受給額には反映されないため、満額年金を受け取るには10年以内に保険料を追納する必要があります。手続きは住民登録されている住所地の市区町村役場で行います。詳細についてはそちらに相談してください。
 

まとめ

国民年金保険料の支払いは国民の義務です。大学生であっても毎月1万6000円前後の保険料を支払う必要があります。
 
支払いを滞らせると自身の将来の年金に影響するだけでなく、最悪の場合、保護者の財産が差し押さえられる可能性もあります。
 
年金制度についても正しく理解し、保険料については必要な手続きをするようにしてください。
 

出典

日本年金機構 国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり

日本年金機構 国民年金保険料の変遷

厚生労働省 令和4年度の国民年金の加入・保険料納付状況

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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