「傷病手当金」とも「障害年金」とも違う! 傷病補償年金とはどんな制度?
配信日: 2023.10.29
この記事では、傷病補償年金とはどんなものなのか、どんな人がいくらくらい受け取れるのか解説します。
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
傷病補償年金とは?
傷病補償年金は、労災保険(労働者災害補償保険)の制度の1つです。業務が原因となって起きたケガや病気が1年6ヶ月以上たっても治らず、重症度が一定以上の場合に、一時金や年金を受け取れます。
傷病補償年金の支給対象になるのは、たとえば「仕事中に工場の機械に巻き込まれて負傷した」「職場で吸い込んだ粉塵によって健康被害が出た」といった場合などが挙げられます。
最近では、新型コロナウイルスに感染して、後遺症を抱えることになった人への支給が決まった例もありました。傷病補償年金は労災保険に加入している人が対象になるため、正社員に限らずパートやアルバイトでも条件を満たせば受け取れます。
ただ、雇用されずに働いている個人事業主や社長などは基本的に対象になりません(個人事業主等でも労災保険への「特別加入」ができる場合もあります)。
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傷病補償年金はいくら受け取れる?
傷病補償年金では3種類の給付を受け取れます。病気やけがの程度に応じて傷病等級第1級~第3級までに分けられ、重症度が高いほど受け取れる金額が多くなります。等級ごとの給付内容は次のとおりです。
・第1級(最も重度)
傷病(補償)等年金:給付基礎日額の313日分
傷病特別支給金:一時金114万円
傷病特別年金:算定基礎日額の313日分
・第2級
傷病(補償)等年金:給付基礎日額の277日分
傷病特別支給金:一時金107万円
傷病特別年金:算定基礎日額277日分
・第3級
傷病(補償)等年金:給付基礎日額の245日分
傷病特別支給金:一時金100万円
傷病特別年金:算定基礎日額の245日分
給付基礎日額は病気やケガになる前3ヶ月間の給与の1日あたりの平均額、算定基礎日額は病気やケガになる前1年間のボーナス額を365日で割った金額が目安です。
傷病手当金や障害手当金などとの違い
名前が似ている制度が複数あるので、違いを簡単に整理しておきましょう。
・傷病補償年金(労災保険)……「業務」が原因の病気やケガ等が対象
・傷病年金(労災保険)……「通勤」が原因の病気やケガ等が対象
・傷病(補償)年金……傷病補償年金と傷病年金を併せて紹介するときによく使われる表記
・傷病手当金(健康保険)……「業務外」の病気やケガ等が対象
・障害年金(年金保険)……病気やケガ等で障害が残った場合が対象
その他、労災保険には療養(補償)給付、障害(補償)給付、介護(補償)給付、休業(補償)給付、遺族(補償)給付などもあります。
普段なかなか意識することがないかもしれませんが、実は病気やケガの際に役立つ社会保障制度はこれ以外にも多数存在しています。ただ「待っていれば勝手に利用できるようになる」というわけではなく、自分から請求しないと利用できないものが多いです。
利用できる制度や手続き方法がわからないときは、職場や市区町村役場などで相談してみましょう。
まとめ
傷病補償年金は、仕事中のケガや業務に起因する病気に見舞われ、1年6ヶ月以上たっても治らない場合に補償が受けられる可能性がある制度です。
「病気やケガのときに使える国の制度は多数ある」ということだけでも知っておけば、市役所の窓口などでたずねて対処できるため、いざというときに困りにくくなるでしょう。
出典
厚生労働省 徳島労働局 傷病(補償)年金
厚生労働省 福井労働局 傷病(補償)等年金
厚生労働省 労働基準情報:労災補償
厚生労働省 労災保険への特別加入
全国健康保険協会 病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)
日本年金機構 障害年金
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表