更新日: 2023.11.10 厚生年金

「厚生年金」の平均額っていくらですか?月々10万円に満たないのですが、将来を不安視すべきでしょうか?

「厚生年金」の平均額っていくらですか?月々10万円に満たないのですが、将来を不安視すべきでしょうか?
少子高齢化や物価高などから老後の不安が高まり、厚生年金に加入するサラリーマンでも年金を心配する声が上がっています。特に厚生年金の支給額が10万円未満の方は 「年金だけでは生活できない」 と悩むこともあるようです。
 
そこで、厚生年金の平均的な受給額を確認するとともに、支給額が月々10万円未満の場合、将来についてどう考えていくべきか検討していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

厚生年金の平均額は14万6000円

厚生労働省の 「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」 によれば、令和3年度末における厚生年金保険の老齢給付の受給月額は、およそ14万6000円の見込みです。自身の厚生年金の受給額が月々10万円に満たないと見込まれる場合、平均の3分の2程度しかなく、少ないといわざるを得ないでしょう。
 
しかし、将来の年金額が月々10万円未満だからと、ただちに将来を不安視する必要はありません。とはいえ、将来にそなえての準備が必要な状況といえます。個人差はありますが、一般的には月々10万円の収入のみで生活することは難しいと考えられるからです。
 

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老後までに充分な資産を用意できれば問題ない

基本的に、多くの方にとって、老後のメインの収入は年金となります。そのため年金が少ないと、将来が不安に感じられるでしょう。
 
しかし、老後の年金額が月10万円未満で少ないと感じられても、必ずしも年金のみで生活することを考える必要はありません。自身で老後までに充分な額を貯蓄しておく、または、iDeCoやNISAで運用するなどして、老後資金を準備することができれば、年金で足りない部分をおぎなうことができるからです。
 
例えば、年金が月々9万円の方が、65歳から年金を受けとりはじめ、90歳まで生きると仮定します。 「今の生活費から考えて、老後は月20万円の生活費が必要」 という場合で考えてみましょう。
 
年金だけで不足する額である、月11万円を、老後資金のとりくずしで対応できるようにするためには、25年分の合計3300万円を老後資金として準備するとよい、ということになります。
 
そのため、年金が少ないからと、それだけを理由にして将来を不安視する必要もないのです。
 
結局のところ、年金は老後の生活を収入面から支えるにすぎない制度です。年金収入と、これまでたくわえてきた老後資金で生活するように将来設計をすれば、不安も緩和(かんわ)できます。
 
年金制度は、これまでさまざまな変更が加えられてきました。将来も今と全く同じ金額や条件で支給されるとも限りません。そのようなリスクを考えると、年金額のみをもって判断しなくてもよいのかもしれません。
 

現在の収入を増やすことでも将来の不安は緩和できる

年金額が月々10万円未満と少ない場合のそなえの1つとして、今の収入を引き上げるという方法があります。
 
厚生年金は、おおむね加入期間が長いほど、また、その間の収入が高いほど、支給額が増えます。そのため今の収入を増やすことで、将来に受けとる厚生年金の額を増やすことができます。また収入が増えると、その分、貯蓄など将来に向けた準備もしやすくなります。
 
具体的に収入を増やす方法としては、今の職場で昇進を目指して働くほか、転職などが挙げられます。
 
現在の収入を増やすことで、老後を迎えるまでの間に起こり得るリスク、例えば失業や給与の減少があった場合にも、事前にそなえることができます。それらを考えると、収入を増やすことは、現在と老後、どちらにもそなえとなります。
 
なお、収入を増やすといっても、個人事業主としての副業など、厚生年金に加入しない働き方の場合は、将来の年金額は増えないことにご注意ください。
 

まとめ

将来の受給額が月額10万円未満では厚生年金の受給額の平均額から考えると少ないといわざるを得ないでしょう。
 
しかし、過度に悲観することもありません。年金額自体は低くとも、将来へのそなえが別途できれば問題ありません。また、収入を増やして厚生年金の受給額を増やすこともできます。
 
年金額に不安を感じたら、まずは老後に必要な金額を簡易に計算してみてください。そのうえで、年金で不足する部分を、どのようにおぎなうのか、前向きに考えてみましょう。そうすることで必要なそなえを行うことができ、不安も軽減できるかもしれません。
 

出典

厚生労働省 年金局 令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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