年金額が1月当たり20万円の場合、「関東」と「関西」で生活レベルはどのくらい変わる?

配信日: 2023.11.21

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年金額が1月当たり20万円の場合、「関東」と「関西」で生活レベルはどのくらい変わる?
同じ日本国内であっても、関東と関西とでは物価やライフスタイルなどが異なっています。それゆえ、同じ額の年金収入があったとしても、生活レベルに差が出るようです。
 
そこで、仮に年金を1ヶ月当たり 20万円受け取れるとして、関東と関西で、住む地域によって生活レベルがどれくらい変わるのかを試算してみました。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

「関東と関西」という大きな区分では、支出や生活レベルに大差はない

あくまでも「関東と関西」という大きな区分での話になりますが、統計上、両者の差はほとんどないようです。総務省統計局の2022年「家計調査(家計収支編)」によれば、関東地方の1ヶ月の消費支出は、25万7991円となっています。対して近畿地方の消費支出は、合計24万4464円となっています。両者の差はわずか1万3527円です。
 
【表1】

用途分類 関東地方 近畿地方 関東-近畿
食料 6万6540円 6万5125円 1415円
住居 2万4134円 2万336円 3798円
光熱・水道 1万9924円 1万9137円 787円
家具・家事用品 9710円 9304円 406円
被服および履物 8441円 8131円 310円
保健医療 1万2962円 1万1660円 1302円
交通・通信 3万3122円 3万1367円 1755円
教育 9488円 7929円 1559円
教養娯楽 2万6725円 2万3931円 2794円
その他の消費支出 4万6946円 4万7543円 -597円
合計 25万7991円 24万4464円 1万3527円

※総務省統計局「家計調査 / 家計収支編 総世帯 詳細結果表2022年」より筆者作成
 
あくまでも総世帯の平均であるため、支出額は、具体的にどこの市区町村に住むかによって違うこともあるかもしれません。とはいえ、統計から見る限り、関東に住もうが関西に住もうが、生活レベルに大きな差はないようです。
 

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東京都区部と大阪市で比べると?

地方という大きなくくりでは、関東でも関西でも違いはなくとも、市区町村単位で見ると、その支出額の差は大きく変わることが予想されます。世の中では「東京都は物価が高い、それに対して地方は安い」と、いわれることがよくあります。
 
そこで代表的な都市として、関東からは東京都区部を、関西からは大阪市を例にして、先の「家計調査(家計収支編)」の数値を抽出してみます。すると、両者の一月当たり の支出額の差は、6万6022円になるようです。
 
【表2】

東京都区部 大阪市
食料 7万148円 6万1851円 8297円
住居 3万3110円 2万3120円 9990円
光熱・水道 1万7505円 1万6716円 789円
家具・家事用品 8654円 6924円 1730円
被服および履物 1万296円 6120円 4176円
保健医療 1万4638円 9681円 4957円
交通・通信 2万8193円 2万1327円 6866円
教育 1万1174円 3656円 7518円
教養娯楽 3万1709円 2万1790円 9919円
その他の消費支出 5万1905円 4万125円 1万1780円
合計 27万7332円 21万1308円 6万6024円

※総務省統計局「家計調査 / 家計収支編 総世帯 詳細結果表2022年」より筆者作成
 
全体的に東京都区部のほうが高くなっていますが、特に食料や住居にかかる費用、教養や娯楽にかかる費用(その他の消費支出を含む)の高さが目立ちます。単に東京都区部の物価が高いこと以外にも、都心である分、イベントが地方都市よりも多く、それに関連して支出も多くなっているものと思われます。
 
もし、年金が月額20万円で、そのほかの条件が同じであれば、関西に住んだほうが生活自体は楽かもしれません。東京都区部の消費支出は27万円を超えているのに対し、大阪市の場合は21万円ほどで済んでいるからです。
 

そもそも月20万円での生活レベルはどれくらい?

ここまで見ると、関東と関西のどちらも、平均的な生活費は20万円を超えていることが分かります。ここから、月20万円の年金では、関東でも関西でも生活できないと思う方もいるかもしれません。
 
しかし、総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」によれば、単身者であれば月20万円の年金でも、十分生活していくことができそうです。
 
65歳以上の単身無職世帯の消費支出は1ヶ月当たり14万3139円、1万2356円の非消費支出を合わせても15万5495円です。月換算で20万円も年金が得られるのであれば、生活していくことができそうです。特に、一般的な世帯における消費支出が低い傾向にある関西であれば、多少余裕もできそうです。
 
しかし、夫婦合わせて20万円となると、そうはいきません。65歳以上の夫婦のみの無職世帯においては、1ヶ月当たりの消費支出は23万6696円、非消費支出は3万1812円となっています。合計すると26万8508円です。月20万円の年金では、6万円以上不足します。
 
月20万円で夫婦二人が生活をするとなると、一般的な生活を送るためには、関西の中でも特に物価の安い地域を探して節約するほかに、就労して不足分を補うなど、なんらかの対応が必要になるでしょう。
 

まとめ

基本的に関東と関西とを物価で比べると、関東のほうが物価などは高く、関西のほうが生活自体は楽そうです。とはいえ、実際の地域によっては支出に大きく差がつき、生活レベルも変わることになりそうです。
 
また、一般的な消費支出を見る限り、単身者はともかく夫婦で月20万円という生活は、大変なものになるかもしれません。
 
もし「月20万円の年金でも、限りなく生活レベルを上げたい」と考えるのであれば、関西でより支出が安く済む地域を探してみてはいかがでしょうか。
 

出典

総務省統計局
 家計調査 / 家計収支編 総世帯 詳細結果表2022年 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 第2表 都市階級・地方・都道府県庁所在市別

 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)家計の概要 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2022年-、図2 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2022年- (18ページ)
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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